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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第百八十五話 レンテンベルク要塞
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しまった。
待ち受けて一戦で勝敗を決める、強大な敵が、魔神ロキがガイエスブルク要塞にやってきたとき、貴族連合は恐怖から団結するだろう。そして初めて生き残るために戦うに違いない。
「レンテンベルク要塞にはオフレッサーが居るな」
「はい」
「あの男に死に場所をと思ってレンテンベルクに行かせたが、それが良かったのかどうか……」
ブラウンシュバイク公は苦悶に満ちた声を出した。
「味方の援護も無しに戦わせる事になる。ガイエスブルクで共に戦うべきだったかもしれん、そう思うとな……」
「閣下……、レンテンベルク要塞に行く事はオフレッサー上級大将御自身が望んだ事と聞いています。公が御悩みになる事ではございますまい」
俺の言葉にブラウンシュバイク公は頷かなかった。ただ表情を曇らせたまま静かに考えこんでいた……。
帝国暦 487年 12月20日 オーディン 新無憂宮 クラウス・フォン・リヒテンラーデ
「捕虜のほうは何か分かったか?」
「シュターデン大将が自殺しました」
「自殺?」
私の問いにシュタインホフ元帥が苦い表情で頷いた。エーレンベルクも苦い表情をしている。三名の捕虜の内、シェッツラー子爵、ラートブルフ男爵は憲兵隊が預かり例の誘拐事件との繋がりを調べ、シュターデン大将は情報部が預かり貴族連合軍の内実を調べる事になっている。
「シュターデン大将から貴族連合軍の内情を探ろうとしたのですが……」
「?」
「彼は戦術論を話すだけだったそうです。自分は間違っていない、ヴァレンシュタインの用兵こそ邪道であると」
負けた人間が何を言っておる。自己弁護で自分が無能ではないとでも言いたいのか、たわけが!
「翌日、改めて取り調べようとした所……」
「死んでおったか」
「……首を吊っていたそうです」
重苦しい空気が国務尚書専用の休憩室に漂った。
「他殺と言う事はあるまいの」
念のため問いただしてみたがシュタインホフは首を振って否定した。
「首を吊るくらいなら、降伏などせずに自決すればよかろう、どうも中途半端じゃの」
シュターデンの顔を思い出した。何処か不機嫌で神経質そうな表情をした男だった。あれでは余り他者から好かれるという事は無かっただろう。
「指揮官ですからな、敗戦の責めは自分が取るべきだと思ったのかもしれません。その場で自決しては結局は部下に責任が行きます」
エーレンベルクの言葉にシュタインホフも頷いている。
そういうものかと思った。長年生きて軍人というものを見てきたが未だに良く分からんところがある、ヴァレンシュタインもシュターデンと同じだろうか、というよりあれが負けることがあるのだろうか、どうも想像がつかんの……。
「まあ、それも好意的に考えればです。た
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