第三部 ZODIAC CRUSADERS
CHAPTER#10
PHANTOM BLOOD NIGHTMAREU 〜Seventh Dimension〜
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「左ッ!」
それぞれの相手の位置を叫び、
承太郎がソラトに、シャナがティリエルに立ち向かった。
熱帯の樹木が立ち並び、頭上に停止したロープウェーが見下ろす街路を疾走しながら、
花京院 典明はべっとりと粘り着くような視線を感じていた。
(付けられてるな……)
歴戦の経験が培った感覚、
『スタンドバトル』 は、一 撃 目がスベテ
と言っても過言ではない。
相手の 『能力』 によっては、一度傾いた形勢を覆すのはほぼ不可能となるからだ。
だが逆に考えるならば、ソコから相手の 『能力』 を類推するのは不可能ではない。
少なくとも 『近距離パワー型』 か 『遠隔操作型』 かの区別が付くだけで、
戦況のアドバンテージは大きく変わる。
わざと気づかないフリをして、視線や表情の不自然さも極力消して
翡翠の美男子は相手の動向を窺う。
ソレを見透かしたかのように。
「!」
首筋にザワめく気配から花京院が横っ飛びに避けた後、
先刻まで自分のいたアスファルトが破裂音と共に弾けた。
(遠隔操作!)
刹那の認識と着弾の軌道から相手の居場所を探る同時考察。
背後の交叉路で密かに動く影が在った。
(追って来いと言ってるのか? 挑発にしても稚拙だが、
それだけ自分の能力に自信があるというコトか)
追跡してきた者が一転して撤退。
どう考えても罠だが花京院はソレを逆手に取る。
( 『法 皇 の 緑……ッ!』 )
空間を歪める音と共に出現する
異星人のようなスタンドの右腕を解れさせて延ばし、
頭上に撃ち出してロープウェーを運搬するケーブルに巻き付ける。
ソレをクレーンのように巻き戻しながら山吹色の火の粉が舞う
上空で見下ろすシンガポールの街並み。
ここまで来た 「経路」 は全て記憶済み。
相手の逃げた先に隠れられるような路地裏は300メートル後まで存在しない。
(追跡けた相手が、悪かったな)
目論見通りの展開になっても怜悧な表情を決して弛めず、
花京院はスタンドの触腕を操作し大車輪のような廻転運動を執らせる。
数回の廻転で充分な遠心力を蓄えた触腕を即座に振り解き、
弾丸のような速度でスタンドと共に滑空する。
山吹色の火の粉に翡翠色の燐光が棚引き
三秒を待たずに目標地点へと到達した。
「!?」
両腕と両足を等間隔に開き、
その風貌を傾けて着地する独特の立ち姿。
想わぬ方向から先回りされた相手は無言で立ち止まる。
「何故逃げる? ボクに用があるんだろう? 一体」
余裕に充ちた微笑を浮かべる花京院の表情が、ソコで凍り付いた。
自分を追って来た者。
自分と戦うスタンド使い。
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