第三部 ZODIAC CRUSADERS
CHAPTER#10
PHANTOM BLOOD NIGHTMAREU 〜Seventh Dimension〜
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【2】
「ハァ!? 何なにナニ!? 一体何なの!? コレ!?」
「オレに訊いたって解るわきゃあねーだろ!
どっかの莫迦がドンパチやらかし始めたンじゃあねーのか!?」
シンガポール国際空港前、タクシーと送迎バスでごった返す人混みの中で、
美女と魔獣の声が重なった。
周囲の人間は、その金切り声に反応する事なくただ静止している。
「だぁ〜! もうッ! 1234567!
これじゃあどれがどれだか解らないじゃないの!」
「突っ込むとこソコかよッ! フレイムヘイズきっての殺し屋が
封絶ン中でまで色惚けてんじゃあグゲオァ!」
世界の因果から隔離された山吹色の異邦空間で、
喋る本に美女の鉄拳が撃ち込まれた。
否定の意味ではない、何よりも肯定しているからこその一撃だった。
「……何勘違いしてんのよ?
より熱くなってきたって言ってるの……
こういう無粋な真似するヤツは、
原型留めないほど噛み千切って踏み潰さないとね……!」
新調したタイトスーツ、そしてグラスの中に狂暴な蒼い炎が燃え盛る。
本当に久しぶりに見る、そう錯覚するような彼女の変貌。
ソレを目の当たりにした魔獣は、いつも以上に狂猛な叫びを挙げる。
「おうおうおう〜!! ようやくらしくなってきたじゃあねーかッ!
我が復活の戦姫、マージョリー・ドー!
こうなりゃ相手が誰だろうとカンケーねぇ!
ミナミナブッ殺して灰燼にしちまおうぜぇ〜!!」
「当・然よ!!」
陽炎に染まった異郷の地で、美女は封絶の中心部に向け大地を砕いた。
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……!!
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!!!!
「冗談、だろ?」
ビルの屋上で学ランの裾を靡かせながら、無頼の貴公子が呆れたような声を出す。
「香港から続いて三回目。巨大な存在に遭遇するジンクスでもあるのかしらね」
傍に立つ紅髪の美少女が、纏った黒衣を大袈裟に竦め手にした大刀を握り直した。
二人の眼前に聳えるのは、その全面から山吹色の燐火を吐き出す無数の蔓。
ソレが幾重にも絡み合って構成された、天にも届く幻想の大樹。
「ケンゲン、ってヤツじゃあねーのか?
あの “蹂躙の爪牙” とかいう犬ッコロみてーによ」
「否、王の顕現というのは、貴様が想っているほど容易き所業ではない。
あの蔓から感じる存在の力は一律に制御されている。度が過ぎる程にな。
おそらくは名うての自在師が構築した強力な自在法だろう」
承太郎の疑問にアラストールが答え、シャナは構えた大刀を振りかぶる。
「りゃあああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁ―――――――
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