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STARDUST唐eLAMEHAZE
第三部 ZODIAC CRUSADERS
CHAPTER#10
PHANTOM BLOOD NIGHTMAREU 〜Seventh Dimension〜
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数感じますがこの近くには……
少なくとも、このホテルに近づいてくる者はいないのであります」
「ならば 『スタンド使い』 か。
そして十中八九 “遠隔操作系” だな。
「本体」 が無防備になるリスクを負うが、
『能力』 次第では数の優位性が意味を無くす」
 そう言って立ち上がったポルナレフは、
素早くドアの真正面へと移動しスタンドに開けさせると即座に戻す。
 数秒の沈黙を待って再び幻像を外に伸ばすと、
顔を前に向けたままヴィルヘルミナを手で招く。
「取りあえず、近くにはいないようだ。
どこかで観察しているのかもしれんが
ソレは同時に真正面からの戦いが苦手という何よりの証。
オレの後に続き、決して傍から離れないように。
解っていると想うが敵が狙うとしたら、
まず重傷を負っている君の方からだ」
「……」
 素肌がザワめくような鋭い気配を発する男の言葉に無言で頷く淑女。
 言いたいことは幾つか在ったが、戦場の直中で我を通すような愚挙を
戦士である彼女は犯さない。
「用心の為、従業員用の階段で降りよう。
まずはジョースターさん達との合流。
敵の数と情報、然るべき戦略を立てねばならぬからな」
「了解、であります」
「では、行こう。
君は、必ずオレが護る」
「……」
 山吹色の陽炎で染まったフロアを、二人は音もなく駆ける。
 無論周囲360°への警戒は緩めぬまま。
 視線の先で完全停止するエレベーターを一瞥した後、
空気を切って脇へと逸れた。
 その僅か数瞬後、動かない筈のエレベーターが澄んだ着階音を鳴らして開く。
 中から、嫋やかな杏色の髪を二つに括った眼鏡の少女が、
最新型のスマートフォンを忙しなくいじりながら姿を現した。
 豊かな脹らみをルーズに覆うボーダーシャツとパーカー、
その下は洗い晒したジーンズと限定モデルのスニーカーという出で立ちである。
 幻想的な空間に現代的なファッションで佇むというシュールな光景。
 少女は誰もいない、否、自分以外の全てが制止した空間を見据えると、
静かにその口を開いた。
「ふぅ〜ん。マヌケなヤツかと想ってたけど、
結構鋭いじゃん、J・P・ポルナレフ。
アノ女が考えなしに外へ飛び出してたら、
一発で “蒸発” させてヤろうと想ったのに」
 無感情にそう言うと少女は、
再びスマホのソーシャル・ゲームに視線を戻す。
「でもまぁ、何をしようが絶対にこのホテルからは出られないけどね。
この私、 “アイリス・ウインスレット” のスタンド
『プラネット・ウェイブス』 が此処にいる限り」
 ゲーム画面に視線を落とした少女の前で、動かない筈の扉が閉まる。
 表示ランプはゆっくりと下へ向かって点灯し、
後に残された空間は、次第に罅割れ崩壊した。

 
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