第三部 ZODIAC CRUSADERS
CHAPTER#10
PHANTOM BLOOD NIGHTMAREU 〜Seventh Dimension〜
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ヴィルヘルミナがここまで喋るのは初めてみる。
「なぁ〜に言ってんだよ。
アンタ折角美人なんだから、色んな服着て楽しまねぇと損だぜ。
“全ての女には幸福に生きる権利がある” ってな」
「な、何を言うので、ありますか……」
そう呟いたヴィルヘルミナは、包帯の巻かれた頬を向けて視線を逸らした。
「ん? なんだ? 変な事言ったか? オレ?」
「アナタは、まともな事を言う方が珍しいのであります」
「だっはっはっは! そりゃあそうだなぁ〜。オレとした事が一本取られたぜ」
そう言って背けた顔が、朱に染まっていない事を淑女は願う。
何故か、 “アイツ” は気づいてすらくれなかったのにと、
淋しい気持ちが胸中を突いた。
「にしても」
互いが沈黙する間もなく喋り続けていたポルナレフの口が、そこで止まる。
レースのカーテンが靡くバルコニー、その先に在り得ない光景が拡がった。
山吹色に煌めく紋章と紋字を落葉のように散らす異邦の空間。
(紅世の……徒……!)
「待て!!」
自らの負傷も厭わず外に飛び出そうとする淑女を、銀髪の騎士の声が諫めた。
通常なら無視する制止にも関わらず、ヴィルヘルミナは想わずそれを聞き入れた。
本人も驚きを禁じ得ない躰の反応だった。
「 “封絶” 指定した範囲を現実から切り離す能力だと君から聞かされたが、
『こんなに大規模なモノなのか?』 オレ達二人を 「標的」 にしたモノなら、
街を越えて海まで射程距離が拡がっているのはどうしてだ?」
変質した気配、普段とはまるで別人のような物言いに、
ヴィルヘルミナは戸惑いつつもはっとする。
確かに、封絶は現実世界の被害を最小限に留める緩衝剤でありながら、
互いの 「決闘場」 という意味合いも兼ねている。
当然その範囲が広がれば拡がる程存在の力も大きく消費する為
可能な限り狭めるのが定法。
自らの力が途轍もなく大きい、それこそ “顕現” でもしない限り
街一個全てを覆い尽くす必要はない。
“というコトは”
「おそらく、もう既に此処へ敵の手が回っている。
相手の不意を突くのに一番効果的な方法は、
ソレ以外の何かに意識を向けるコト。
そうでないなら、わざわざ自らの存在を晒す必要はない」
初めての討滅戦だというのに銀髪の騎士は、
紅茶の残りを飲みながら冷静な見解を告げる。
裡に宿る幻像の切っ先を想わせるような、研ぎ澄まされた明察力。
「では、どうするのでありますか?」
万全ではない状況、加えて昨日の苦境が色濃く灼き付いている為
淑女は私情を抑え意見を仰ぐ。
「焦れたのか勇み足か、DIOらしくないやり口だが
『総力戦』 であるコトは間違いないだろう。
この近辺に紅世の徒の気配は?」
「市街地の方に複
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