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【IS】何もかも間違ってるかもしれないインフィニット・ストラトス
第百三二幕 「君はまな板の凄さを知るだろう」
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ずかったのか……」とか失礼千万な事を言っている。

「茶番はいいからつ・づ・き!」
「あ、ああ。おかしいのは腕力の話だ。お前、そんなに小柄で腕も細いのにどうやって同級生たちを投げ飛ばしたりできたと思う?……おかしいんだよ、それが。お前は代表候補生にたった2年で上り詰めたが、そのときの成績で一番評価が高かったのは体力テストだったな?」
「そうだけど……それは一夏たちに会いたかった一心で死ぬほど頑張ったんだから強くもなるわよ!」
「人間の身体能力は体格に左右される。脚が短かったらその分だけポテンシャルは狭まってしまう。なのにお前、そんな華奢な体のまま当時育成所でトップだった子を後から追い抜いたろ?」

 ……ちなみにその追い抜かれたかわいそうな子が万春々ことはるるである。鈴は全く悪びれていないが。ちなみに春々の身長は鈴より10センチほど高く、スタイルも鈴を上回っている。足の長さなど言うまでもなく寸胴ボディの鈴より長く大きい。
 と考えると同時に自分の体のちんまさに果てしない悲しみを感じるのだが。

「はっきり言うが、努力だけでどうにかなる問題じゃない。原因はお前の持っているカルテの中にあったんだ」
「なーんか釈然としないわね……」

 努力のおかげだけではない……と言われても、実際に鈴は特訓して強くなった。今更その努力を否定するような物言いは少し不快だったが、ここで突っかかっても話が進まない。渋々ながらカルテを覗き込んだ鈴は――そこで絶句した。

「これ……本当なの?」
「……………すまん」
「……………ごめんなさい、鈴。今までずっと言い出せなかったの」

 生唾を飲み込む。視界が白んでいく。そんな、嘘だ。そう叫びたい気持ちを必死で抑え込み、鈴はその残酷すぎる真実をもう一度両親に問いかけた。

「身体能力の大幅な向上と引き換えに、アタシの体の成長が2年前から完全停止してるって、本当なの……?」
「そうだ……」
「鈴音……」
「それじゃ――」

 鈴は、そのまま魔女に変貌して歯車飛ばしたり剣振り回しそうな絶望に染まった顔で、音もなく涙を流した。もしこの内容が真実であるなら、自分が今までやってきたことは何だったんだろう……そんな無力感に苛まれながら、声を絞り出す。

「アタシが今まで身長伸ばすために鉄棒したり牛乳いっぱい飲んだりお風呂でこっそり豊胸マッサージ試したりしたのに体が幼児体系のまんまな理由って…………」

 この世には――開けてはいけないパンドラの箱が無数に存在する。
 鈴にとってその真理は、世界は、余りにも峻酷(しゅんこく)だった。

「全部、パパの渡したペンダントのせいだ……!心臓の代わりになったペンダントの影響でお前はこれから怪力と引き換えに一生幼児体系のままだッ!」
「御免なさい、
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