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【IS】何もかも間違ってるかもしれないインフィニット・ストラトス
第百三二幕 「君はまな板の凄さを知るだろう」
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はもうその時のことを覚えていないから確認も出来ないが、俺たちは自分たちの醜さを悔いた。もっと素直に娘を愛せていたら、あんなにも長く言い争う事にはならなかったはずなんだ。
鈴音、お前は土地勘もない中国の駅に一人で飛び込んで、行先も分からない特急列車に飛び乗った。
なんでか、なんてのは考えればわかる。人間の嫌な部分を見てしまったときや悲しい時、人は自分の知らないどこかに逃げたくなるからな。駅員さんの話によるとお前はぐずっていたらしい。
すまない鈴音、今更謝ってもお前は困るだろうが、本当に泣かせたくはなかったんだ。
俺たちは離婚の事なんてすっかり忘れてお前を探した。中国だって場所によってはかなり治安が悪い。子供が行方不明になったらそのまま戻ってこない可能性は十分にある。親のせいで飛び出した子供がそんな事になったら死んでも死にきれない。探して探して探し回った。
だが、完全には分からなかった。警察にも相談したが、あまり当てにはならなかった。
その日、俺たちは失意のうちにホテルで眠りについた。明日になったら鈴音がホテルに戻って来て、「寂しくて帰ってきた」ってぐずりながら甘えにくるんじゃないかと淡い期待を持って……。
その日、俺たち二人は同時に同じ夢を見た。
鈴音が――俺たちの鈴音が、ばらばらに砕けた電車の中で力なく横たわっている夢だ。
あの夢は、余りにも現実味が強すぎた――俺たちは次の日の朝、目が覚めると同時に列車事故の情報がないか調べた。そこに鈴音がいてほしいというより、夢が現実であってほしくないという確認だった。
テレビに、列車事故のニュースが映ったよ。
生存者は女の子一人。心臓が止まったかと思った。
……その女の子はやはりというか、鈴音だった。
燃え盛る列車の中で発見されたお前の周囲は何故か炎が燃えていなかったらしい。また、激しい出血の後があるにも拘らず、奇跡的にも鈴音の体は掠り傷一つない完全な無傷だったらしい。……他の乗客全員が死亡していたにも拘らずな。
その話を聞いた時には神に感謝したよ。肌身離さず持たせていたペンダントが無くなっていたが、きっとあのペンダントが鈴音の身代わりになってくれたのだと思って先祖にも感謝した。こうして奇跡は奇跡のまま終わる……そう思っていた。
事故の後、意識がない鈴音がもうそろそろ目を覚ましそうな兆しを見せた頃……ある日本人の青年が俺達の元を訪ねてきた。そこで私たちは、奇跡とやらのカラクリを知ってしまったんだ。
= =
「これを見てくれ、鈴音……その青年、『水津花』くんが渡してきたお前の体の精密検査の結果だ」
ぱさり、と机の上に置かれた紙をペラペラめくる。それなりに勉強したので学はある筈なのだが
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