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魔法少女リリカルなのは 〜最強のお人好しと黒き羽〜
第二十一話 家族のかたち
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夜の闇に消えていくのを見つめながら思い出す。
彼のしっかりとした態度。
小学生とは思えないほど落ち着いた雰囲気。
周りの空気を読んで対応できる理解力。
しかし、自分は邪魔なのだろうと下がりすぎてしまう謙虚……遠慮の強さに、二人は彼が何か辛いものを抱えているとすぐに察した。
「彼の両親は……」
「決め付けるのは彼に失礼だ。 だが、それに近いか当たっているような事態の中に、彼がいるのは間違いない」
人の親と言うのは、なぜだか子供の闇に鋭い瞬間がある。
なんでもかんでもわかるなんてことはない。
ただ、なぜか分かる時がある。
小伊坂 黒鐘の痛みを察したように。
特に、彼の場合は特殊過ぎた。
士郎は昔の癖で気配を消して歩いてしまうことがあるが、その気配に気づけたことが大きい。
自分が鍛えた恭也や美由希達や、ずっと側にいる桃子はいいとして、たった10歳そこらの少年が築けるようなものではない。
それに気づいて、尚且つ視線には言葉や想いが乗っていて……子供のような純粋さよりも大人のような疑り深さが強かったのだ。
「私たちのこと、頼ってくれるかしら?」
「難しい所だ。 幸い、なのはと言う繋がりがあるから定期的にウチに来ることはあるだろう。 店にもよく顔を出してくれることだしな。 とは言え」
そこで士郎は言葉を止めた。
それ以上言葉にしなくても桃子には伝わっていたからと言うのと、“それ”が言霊となることを恐れたからだ。
「そうね。 私たちにできるのは、あの子達が頼ってくれてからだものね」
「そうだな。 なのはや、なのはの友達、そして小伊坂君の友達や周りの人。 同年代だからこそできることを尽くした後に、俺たちの出番が来る」
そうでなければ、彼は救われないと士郎と桃子は察していた。
ここで無理に二人が動いたところで、黒鐘は独りを貫いてしまうだろう。
辛い時……本当に辛い時、他人に頼ると言うことはあまりにも恐れ多いことに感じてしまう。
救いの手が差し伸べられた瞬間、それを手に取っていいのか迷って、躊躇ってしまう。
だからこちらから来てはダメだ。
彼らではダメだ。
同じ世代の、同じ目線の、同じ距離に立てる存在。
「なのはは、ほんとにいい人に出会えたな」
「そうね」
お互いを知って、競って、また知って、理解し合って……。
同じ世代だからこそできるそれは、きっと小伊坂 黒鐘を救うだろう。
そしてその経験とその日々は、きっと高町 なのはの人生を大きく変える経験となるだろう。
後に空を目指してどこまでも進んでいくことになる少女の親は、娘の成長に期待
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