第一章 天下統一編
第一話 聚楽第
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を発端とした戦略の詳細は聞かされていないだろう。嘘をつけば、その嘘は間違いなくばれる。
俺が答えると秀吉の俺への圧力が収まった。秀吉は小刻みに笑った。
「孫兵衛の息子に俊才が生まれるとはな」
秀吉は愉快そうに笑った。孫兵衛は俺の実父、木下家定のことだ。
「卯之助、千石の話は無しだ」
秀吉は真剣な顔で俺に言った。俺の頭の中に疑問符が浮かんだ。知行無しなのか。秀吉の口振りから気分を害した気配は感じられない。それとも知行を五百石に変更するのだろうか。
「新たに摂津国豊島郡に五千石をやる。卯之助、お前にも北条攻めに参加してもらうぞ」
秀吉から驚愕なことを伝えられた。俺のような若造に五千石なんて有り得ない。義祖父は三万石だが、義父の知行が三千石だぞ。秀吉は頭がおかしいんじゃないか。
「私は初陣もまだです。それに家臣もいません」
俺が引きつった顔で秀吉に返した。流石に五千石は過分すぎるし、知行分の軍役を全うする自身がない。
「急に年甲斐になりおって。与力をつけてやる」
秀吉は俺のことを面白そうに見ながら言った。
「与力ですか」
与力と言うと、秀吉の家臣を補佐につけるということか。でも、俺の家臣ということではないから、凄く使いづらそうだ。俺みたいな餓鬼に使われるなんて、幾ら秀吉の命令でも納得できないだろう。命令だから従うだろうけど、俺に不満を抱く人間を使うなんて凄く大変そうだ。俺は考えるだけで憂鬱になってきた。
「そうじゃ。与力の人選は任せておけ。それと与力によく言っておく。分からないことは与力に聞け」
秀吉は考えを改める様子は無いようだ。誰を俺の与力にする気だ。
「家臣については木下家、小出家から人を紹介して貰えば良いだろう。足軽や人足は知行地から徴収すればいい。あとは金か。良い機会じゃ佐吉に相談してみよ。儂から伝えおく」
有り得ない。秀吉はどういう考えで俺に五千石を与えるつもりなんだ。それより家臣の侍は木下家も小出家もできることなら避けたい。木下家も小出家も西軍側に属している者が多い。とはいえ背に腹は代えられないか。人材の件は後で考えよう。
「殿下、石田治部少輔様でなく加藤主計頭様にご相談できないでしょうか?」
俺は加藤清正の名を出した。清正は脳筋みたいな描かれたするけど、実際は文武両道な人物だから大丈夫なはずだと思う。それに一応は親戚だし力になってくれるかもしれない。問題は清正が京に現在いるかだけど、小田原征伐に清正も参加したはずだから時期的に京じゃなくても大阪にいるかもしれない。
「虎之助じゃと。儂の指図に不服か?」
秀吉は自分の考えに異を唱えた俺に怒りを覚えているのか、眉間に皺を寄せていた。俺が本当の子供だったら、この顔
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