帰郷-リターンマイカントゥリー-part5/すれ違いの親子
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走って逃げて行った。
「ルイズ、待って!」
カトレアが手を伸ばすが、愛する妹にそれは届くことはなかった。
「「………」」
エレオノールとカトレアは、ルイズの反発に未だ固まっていた。
「おい、どうしたのだ!」
「今、ルイズ様の叫び声が聞こえたのですが…」
さっきのルイズの喚き声を聞きつけたのか、公爵とフレデリックの二人がバルコニーにやってきた。今の様子だと、ルイズとは鉢合わせしておらず、入れ違いになったようだ。
「実は…」
カトレアが、また待っている二人に代わって事情を説明する。
「ルイズ……」
話を最後まで聞き終え、公爵が遠い目でバルコニーから見える庭を眺める。
ここしばらくの間のトリスタニア方面の怪獣災害、それからルイズを守るためにと思っていたのだが…どうも受け入れてくれる気配は今のところないことを痛感した。
しかしその直後、また新たな問題がヴァリエール一家に襲いかかる。
「う…ごほ!げほ!」
「カトレア!!」
突然カトレアがせき込み始め、床の上に崩れ落ちてしまったのだ。
一方、ヴァリエール一家が朝食の時間を取っていた頃…
サイトは他にやることもなく、ムサシの部屋でハルナやムサシ、さらにピグモンを交えて雑談していた。
サイトの場合、デルフで素振りをしようとも考えたが、ムサシから「刃物を敷地内で振り回すと不振がられるから」と忠告されて、結局止めている。
今はハルナの所持品である鞄の中の教科書で話が盛り上がっている。
「…懐かしいなあ。サイト君たちの学校ではこんな内容なんだね」
学生時代を懐かしみながらムサシはハルナから借りた教科書をじっくり読んでいる。元々勤勉家でもあったムサシには別次元の地球の教科書はどことなく興味を引かれた。
「春野さん、よくそんな楽しそうに読めますね…」
「そうかな?僕は普通だと思うけど?」
あまり勉強に身が入るタイプじゃないサイトからすると、教科書を片手にムサシが楽しそうにしているのはちょっと変わった光景に見えた。
「平賀君って、授業では寝てることが多かったんですよ」
「ちょ、ハルナ!?」
「あはは、駄目じゃないかサイト君。ちゃんと授業は聞いておかないと」
「うう…」
ハルナからからかい混じりに、間抜けな授業態度をカミングアウトされ、サイトは縮こまる。しかも相手は先輩ウルトラマン。できれば格好つけたかったのだが残念ながら短い夢に終わった。
そんなときだった。
「ミスタ・ハルノ!大変でございます!」
執事が大慌ての様子でムサシの部屋を訪れた。
「ジェロームさん、どうしたんですか?」
「カトレア様が倒れてしまわれたのです!」
「!」
「カトレアって…」
確かルイズのお姉さんの名前だ。倒れた、と聞く辺り、よくないことがあったに違いない。
「すぐに来るよう、
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