帰郷-リターンマイカントゥリー-part5/すれ違いの親子
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無断で陛下からの危険な任を受けるわ、下賤なものに恋をするわ…まるで自覚が足らないわ!
この際、父様の決定通りフレデリックさんとの婚姻を進めるべきよ!そうしなければこの子は『ゼロ』の自分をわきまえないまま我儘を通すだけだわ!」
「ッ……!!」
『ゼロ』。またその言葉がルイズの胸に突き刺さる。
「エレオノール、興奮しすぎよ。落ち着きなさい。あわてなくてもその方針で行きます」
しかしカリーヌたちは自分よりもこの家では権力も胆力も強い。特にエレオノールはかなり不機嫌そうに聞き入れる姿勢さえも見せなかった。
「ルイズ、いいわね?父様の言うとおり彼と結婚して、もうこの家でじっとしていなさい」
カリーヌは、一気にヒートアップしかけたこの場を鎮めるように、静かにルイズに言った。しかしそれでも、ルイズに有無を言わせようとしないプレッシャーを放っている。
「…」
ルイズは俯いたまま母の言葉に答えなかった。
「ルイズ、返事くらいしたらどうなの」
エレオノールがルイズを睨みながら言う。すると、次のルイズの口から飛んできた言葉は、皆の予想をさらに上回るものだった。
「…うるさい」
「な、ルイズあなたねぇ!」
畏怖の対象にもなっていたエレオノールに対し、ただ一言の「うるさい」と一緒に、顔を上げてエレオノールを睨み返した。
真っ赤に染まった眼から大粒の涙を流しながら、ルイズは屋敷中に響き渡るくらいの大声で喚き散らした。
「うるさいって言ってるのよ!何よ!みんな揃いも揃って好き勝手言ってばかり!何が勝手よ!何が我儘よ!お父様も、お母様もお姉様たちの方こそ…みんな勝手なことばかりじゃない!!人の事をちっとも信じてくれなくて、昔みたいに『ゼロ』の一言で片づけて、全く知りもしない婚約者をまた無理やり押し付けて!!私がしようとしていることにまでいちいちいらないケチばかりつけて!私のことなんかより、ヴァリエールの家の名の方が大事なんでしょう!!
口先ばかりで、私の事なんか全然わかってくれないじゃない!!
だったら、『ゼロ』の私なんかこの家から追い払ってしまえば済む話じゃない!!」
…違う。こんなことを言いたかったわけじゃない。私はただ、虚無のことを言うことも信じてもらうこともできない、ずっと家族からも『ゼロ』のままで認めてもらえないことにイラついているだけだ。それなのに…。
気が付けば、ルイズは家族に当たってしまっていた。
「る、ルイズ落ち着いて…!」
かつてないほどの剣幕で反発するルイズに、カリーヌとエレオノールが動揺して固まる中、カトレアがルイズを落ち着かせようと言葉を発そうとするが、その前にルイズが最後の止めのように叫んだ。
「もういいわよ!!こんな家…出て行ってやるわよ!それでいいんでしょう!!」
その一言と共に踵を返し、ルイズはバルコニーから
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