帰郷-リターンマイカントゥリー-part5/すれ違いの親子
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「違います!私は今更あのような外道からの屈辱など!」
ワルドのことを引き合いに出されたが、事実ルイズはワルドに対して抱いていた思いが単なる憧れでしかないことをアルビオンで自覚した。それにあの男から受けた屈辱をいつまでも引きずってなどいられないし、当に忘れている。それを公爵から無理やりそのように理由付けをされては余計に反論したくもなる。
だが、そんなルイズのもとに…新たな第三者の声が聞こえてきた。
「ルイズ様、そのようにいきり立たれないでください。せっかくの美しいお顔が台無しです」
「だ、誰!?」
ルイズの声に応え、バルコニーに若い貴族の青年がヴァリエール一家の前に現れた。
「申し訳ありません、公爵様。お嬢様の乱心を見過ごせなかったもので…」
「構わんよ。君を着けなければルイズを大人しくさせられんからな」
突然の来訪の無礼を詫びる青年だが公爵は首を横に振ると、ルイズに向けて彼についての詳細を教えてくれた。
「紹介しよう、ルイズ。彼はお前の新たな婚約者の『フレデリック・ド・アルベルト』君。アルベルト男爵家の次男殿だ」
「お、お父様!またそんな勝手に…!!」
また勝手に婚約者を決めた父にルイズは声を荒げた。
「いいかルイズ。ほとぼりが済むまでこの屋敷から出るな。無理に魔法を覚える必要もない。この機会だから彼と話して落ち着くがいい」
「お父様!」
父は既に食事を終え、ルイズの話には聞く耳持たずの姿勢を貫いたまま、バルコニーから去ってしまう。ルイズは一気に意気消沈した。父がまるで自分の話に耳を傾けようともしてくれなかった。
「ルイズ、お父様のお気持ちを理解なさい。あの方は自分がもう若くないから、あなたがいつまでも危険な王都にいることを心配しておられるのよ」
カリーヌがそう言うが、母の言葉もルイズには届かない。
「でも、これで決まりね。フレデリックさん、ルイズのことをよろしく頼みますわ」
ようやくルイズも、これで観念するだろうと思い、エレオノールはフレデリック青年に向けて言った。
「ええ、もちろんです。なにせ彼女は私の妻となるのですから」
にこやかに、フレデリックは答えた。その笑みは裏表を感じさせないほど爽やかだった。普通に見て、この青年が好印象を与えるのに十分な男だととってもよいだろう。
「ま、待ってください!まだ私…結婚だなんて…」
だが、父から理解されず謹慎を言い渡された直後に、いきなり顔合わせをすることになった新たな婚約者にルイズは動揺し、まだ結婚できないと首を横に振った。
「お母様、お姉さま、ルイズの言う通りよ。フレデリックさんには申し訳ないけど、結論が早すぎると思いますわ」
カトレアもルイズの気持ちをくみ取ってフォローに入ると、カリーヌはルイズの方を見て、一つの予想を立てる。だが、今思いついた話は夫が連れて
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