帰郷-リターンマイカントゥリー-part5/すれ違いの親子
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姿勢に出た妹に、エレオノールが怒りを覚えて無礼だと注意を知れようとしたが、逆にルイズから不測の返答が飛んできて思わず黙らされた。あのルイズが、姉に向かってここまで真っ向から逆らうことなど、彼女の家族たちからすれば一度も見たことがなかったことだった。
「大切な任務だと?」
ジロッと再び自分を見てくる父に気圧されかけながらも、毅然とした態度を崩すまいと必死になりながら、ルイズは話を続けた。
「はい。お父様もご存じの通り、現在のトリステインはアルビオンに救う邪悪な侵略者たちと戦うための対抗策を、陛下が率先して講じています。
私は陛下から、城下を中心に、怪獣や侵略者の発生原因を突き止める任、裏切り者をあぶりだす任…トリステインのために、あの方のためにできることを進んでこなして行ったんです!」
「あなた、私たちに内緒でそんな危険なことに…!」
エレオノールがきつい言葉を言おうとするが、公爵はそんな娘の言葉を遮るように、ルイズに問い返した。
「お前、系統に目覚めたのだな?」
「……」
ここまで危険な任務を、女王からの命令で受けたことを知った公爵は、『ゼロ』だったはずのルイズが魔法に目覚めたことに気付く。やはりこの人は只者ではないと痛感する。
「四系統のどれだ?」
その問いに対してルイズは一時言葉を詰まらせる。そうだ、虚無のことは他言無用だ。たとえ家族である彼らにも話すことは許されない。いや…そもそも信じてもらえるはずがない。ウルトラマンさえも驚かせたあの伝説の系統…虚無に目覚めたなど。
だから、やむなくルイズはうそをついた。
「火です…」
「火か…おじい様と同じ系統だな。だが…戦に惹かれる罪深い系統だ」
伏し目がちに公爵は呟く。メイジの軍人は特に火が多く、水は衛生兵などを勤めることが多い。公爵は現役時代にそれを飽きるほど見続けてきた。
「ルイズ、陛下は才能とかと関係なく…ほかでもないお前自身を望んだのか?」
「…はい、その通りです。始祖に誓って」
「名誉なことだ。父として鼻が高い。だが……だからこそお前に危険をこれ以上侵させるわけにいかぬ」
「な…お父様!?」
今の言葉から、もしかして自分がこの先も危険を承知で陛下の任務を受けることを認めてくれるのかと思ったが、結局望まない答えが返ってきた。
「家臣ならば使える相手の間違いを指摘するのも忠義。陛下にはわしから上伸する。ルイズ、お前にはやはり謹慎してもらう。魔法学院にも退学願いを出しておく」
「そんな…納得できません!」
魔法学院さえも退学させるだと!?父の強引すぎる決定にルイズは喚いた。
「ルイズ、それは我々の言葉だ。今のお前の考えに納得する者などこの家におらぬ。いてはならぬのだ。これもお前を思ってこそだ。わかってくれ。大方、ワルドに裏切られて自棄を起こしているのだろう?」
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