帰郷-リターンマイカントゥリー-part5/すれ違いの親子
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オノールが呆れ気味に、しかし一方でいつもの鋭さがあまり感じられなくなった目でカトレアを見ていた。
「ちょっと休ませてもらえれば、すぐによくなるわ。ここにはムサシさんもいるんですし」
「…ハルノ、さっそくカトレアを診て頂戴」
「は、はい!」
カリーヌから視線を送られ、ムサシはさっそくカトレアの容体を確認した。
その際、サイトはあることに気が付く。彼の目に、ムサシの体からカトレアに向けて淡い青色のエネルギーのようなものが流れ込んでいるのが見えた。このエネルギーの気配には覚えがある。
(そうか、コスモスの力でカトレアさんの病を緩和させていたのか)
今の青いエネルギー、他の人たちには見えてないものだが、
思えば、ムサシは『自分が医者だ』とは一言も言っていなかった。あくまで怪獣関連の専門家。対人間の医学など学んでいなかったのだ。だからコスモスの力を利用していたのだ。
だが、待てよ?コスモスのエネルギーはムサシを変身させるだけの量も残っていないはずだ。その状態でカトレアの容体を回復させるためとはいえ、流し込んでしまったら、いつか自分たちがこの世界から出ることもできなくなってしまうことになりかねないのでは?
(なんて人なんだ…)
自分たちの身を犠牲にしてでも、目の前の命を放っておくことができない。
それでも異世界から迷い込んだ自分を保護してくれた人への恩返しのため、何よりムサシとコスモスの優しい性格がそうさせていたのだ。
「…どうだね。ハルノよ」
公爵がムサシに確認を求める。
「大丈夫ですよ公爵、これで一安心です」
「そうか…君を保護して正解だったな。礼を言う」
「そんな、僕は僕を保護してくれた皆さんへ恩返しをしているだけですよ」
気にしないでくれと、礼を言ってきたムサシ。エレオノールはその言い方が、内心気に食わなかった。平民なのだから、自分たち公爵家から受けた例の言葉を素直に受け取ればいいのに、何を顕著になっているのかと。
「公爵様、あの…差支えなければ、彼をご紹介いただけないでしょうか?」
ふと、さっきまで無言だったフレデリックが公爵に、ムサシのことを尋ねる。
「見ての通りだ。彼は娘の専門医のようなものだ。カトレアがどうしてもと言ってな、我々の方で保護している」
「なるほど…そうなのですか。確か…ハルノ殿でしたか。ミス・カトレアを診てくださってありがとうございます。彼女はいずれ私の義姉にもなるであろう大事な方ですから」
「義姉?」
サイトは聞きなれない単語を耳にして首をかしげた。ルイズの新たな婚約関連の事情をまだ把握していない彼からすれば当然の反応だった。
「では、カトレア。体を大事にするのだぞ」
「お父様、お母様、お姉様。その前にルイズのことなのですけど…」
腰を上げて、少し名残惜しげに思いつつも、他にやるべきこ
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