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Three Roses
第十八話 墓参りその六

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「すべからく政略結婚です」
「そうしたものですね」
「愛はそれからです」
「二人が会ってからですか」
「それから育むものです」
 愛が必要にしてもというのだ。
「まずは家と国なのです」
「その二つを見るものですね」
「そうです」 
 確かな、淡々とさえしている答えであった。
「セーラ様、マリア様も然りで」
「マイラ姉様もですね」
「そしてです」
「私もまた」
 マリーは自分から言った、ここでは。
「そうなのですね」
「はい」
 まさにというのだった。
「そうなります」
「王族だからこそ」
「王族は結婚もです」
「責務ですね」
「しなければなりません、ただ」
「ただ、とは」
「夫の座を開けてそれを争わせることもいいでしょう」
 こうしたやり方もというのだ。
「時には」
「あえて結婚せずに」
「他国との交渉に使う」
「そうしたやり方もありますか」
「相手が国内の諸侯でも同じです」
 他国に対するのと、というのだ。
「やはりです」
「政のことですね」
「そうなのです」
「今は諸侯の力は弱まっています」
 今度はグラッドソン大司教が言ってきた。
「中央、即ち王に権力を集中させる政策を続けた結果」
「何代もの王に渡って」
「王権を強めてきましたので」
 それでというのだ。
「諸侯の力は百年前とは比べものになりません」
「そしてその分ですね」
「王の力が強まりました、ですが」
「まだ足りませんか」
「はい、権威が必要でしょう」
「権威ですか」
「神という権威が」
 大司教はマリーに畏まって話し0た。
「諸侯をさらに抑える為には」
「神の権威がですか」
「そう考えます」
「では王権は神より授けられた」
 マリーは大司教に顔を向けて問うた、マリーは女にしては結構な長身である。だが大司教も他の三人もは背が高くマリーは小柄で細く見える。
「そうした聖なるものとするのですね」
「左様です」
 その通りという返事だった。
「王権は神より授けられたもの」
「そうした絶対にして神聖なものとする」
「そう位置付けてです」
「力をさらに王に集中させ」
「諸侯を抑えるべきです」
「そのうえで国を治めていくのですね」
「力が分散していればです」
 国の中のそれがというのだ。
「それだけ乱れやすくなります」
「諸侯が叛乱を起こし」
「そうして乱れ衰えた国は多いです」
 さらに言った大司教だった。
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