第十八話 墓参りその五
[8]前話 [2]次話
王はマリアを伴い政を行いマリアも共にあった、そのうえでだった。
マリーのことも気にかけ続けていた、マイラのことも。このことはセーラと同じだった。
その二人はそれぞれ文を書きマリーに送った、マリーは墓参りの直前にその二通の文を読んでだった。
微笑んでだ、今も傍にいるロドネイ公に言った。
「二人は今もです」
「マリー様のことを気にかけておられますか」
「はい」
笑顔で答えた。
「そのことがわかりました」
「それは何よりですね」
「私達はそれぞれの国に別れましたが」
「それでもですね」
「今も共にあります」
その心がというのだ。
「有り難いことに」
「はい、お心はです」
「離れていてもですね」
「共にあるものです」
「では離れるのは身体だけですね」
「そう思います、その証に」
ここでだ、ロドネイ公は。
王宮の中の彼等が今いるマリーの部屋から中庭の方を見た。そのうえで自身の主に対してこうしたことを言った。
「薔薇達は今もありますね」
「それぞれの場所に」
「三色の薔薇が」
「はい、あります」
そのままだ、マリーは答えた。
「今も尚」
「ではです」
「私達は今もですね」
「共におられるのです」
三人共というのだ。
「薔薇がありますから」
「マリー様は赤薔薇ですね」
デューダー卿もマリーに言ってきた。
「セーラ様が黄薔薇、マリア様が白薔薇で」
「そうです」
「その三色の薔薇が常にお三方の傍にある限り」
「私達はですね」
「共にあるのです」
そうなるというのだ。
「そしてです」
「その薔薇達はですね」
「何時までも咲き」
「やがては」
「また一つになります」
そうなるというのだ。
「一つの場所に咲くことになります」
「私達の国それぞれがですね」
「一つの国になり」
「北の王国も含め」
「そうです、出来ればです」
さらに言ったデューダー卿だった。
「このことも婚姻により」
「進めていくべきですか」
「婚姻はいいものです」
「平和にことを進められる」
「愛情が必要とされていますが」
ここでだ、デューダー卿はマリーにあえてこう言った。
「それは、です」
「普通の結婚のことですか」
「君主の結婚は違います」
「家と家、国と国を結び付ける」
「そうしたものなのです」
それが君主の結婚だというのだ。
[8]前話 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ