帰郷-リターンマイカントゥリー-part4/盗まれた友達
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自らの過去についての話をした。
それはTEAM EYESに所属していた頃のことだ。かつて組織が保護に失敗した怪獣『毒ガス怪獣エリガル』を、ムサシを含めたEYESの手で今度こそ保護するための任務があった。
当時敵だった頃のカオスヘッダーに憑依されて暴走していたエリガルを、ムサシはコスモスに変身することで浄化し大人しくさせようとした。しかし、カオスヘッダーが進化した影響でうまくいかず、やむを得ずコロナモードの強力なパワーでカオスヘッダーを切り離したが、救われたはずのエリガルは耐え切れずその場で死亡してしまった。この悲劇的な結果しか残せなかった戦いは、今でもムサシの心に忌まわしい記憶として、後の教訓として焼き付いている。
「サイト君、君は僕らなら、相手を殺すことなく全てを救えると思ったかもしれないけど、そんなことはないよ。僕らにもできないことなんて、自分が思っている以上にまだまだたくさんあるんだ。
それに、浄化の力を持つことだけが、怪獣を殺すことなく戦いを済ませる方法じゃないんだよ」
「え?」
「本来、異なる生物だろうが、同じ人間だろうが…僕たちは相手とつながりを持つためには、特殊な能力とか力の強さじゃない。じゃあ、何だと思う?」
「それは…」
さっきまでの話の流れから見て、相手を殺さずに救うことで、戦いを穏便に済ませる方法は、コスモスが持つような浄化の能力だとばかり思わされる。だがゼロには、自分たちにはそれはない。力で相手をねじ伏せる手段しか持っていないのだ。だが、ムサシは言った。
相手を殺さずに救うのは、能力とかそういうものではない、と。
「…『心』だよ」
「心…?」
『そのとおりだ。サイト、そしてゼロ』
すると、今度はコスモスの声が二人の耳に聞こえてきた。
『私は確かに浄化の力を持つが、限界がある。それにたとえ怪獣を浄化・沈静することができたとしても、いずれ怪獣も人も心や感情に揺さぶられ再び暴れてしまうこともある。
相手を殺さずに救うために必要なもの、それは…ムサシの言う通り「心」なのだ。
私はカオスヘッダーとの戦いを通して、それをムサシから教わった』
「サイト君、思い出してみてくれ。君は確かに救えなかった人がいるけど、君の心で救われた人もまたいるはずだ。その時の君は、私のような心を救う光線技があるから助けようと思ったのかい?」
「そ、それは…!」
そんなことあるわけがない。何事も動機がなければ…助けたいという気持ちがなければ、たとえ自分に相手を殺さず鎮める力があっても、使う気にもならないはずだ。少なくとも自分がこれまで戦ってきたのは、誰かを守りたいという気持ちが…幼い頃の自分と同じ痛みを仲間やたくさんの人たちに味あわせたくないという思いからだ。
「君がもし相手を手にかけずに戦いを終わらせたい気持ちが本物なら、君が自ら
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