117章 信也たち兄妹、ボブ・ディランを語る
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しさき)か、曲先かといえば、
詞先の人で、『リズムもメロディも、すべてをなくしたとしても、
ぼくは歌詞を暗唱できる。重要なのは、メロディじゃない、歌詞だ。』っていってるんだよね。
あと、『どういう言葉を使うのか、言葉をどういうふうに働かせるのか、
歌でも詩でも、大事なのはそれだ。』とかと言っているですよ」
「へーえ。ディランって、やっぱり、文学的だったんですね。お兄ちゃん」と、利奈が微笑む。
「歌を作るようになったときは、すでにたくさんの詩を読んでいたんだってさ。
ディランの歌作りの目的の中心は、ロックやポップスのスターと違って、
ヒットチャートで成功を収めることではなかったらしいからね。
『大衆文化の多くの場合、短い時間ですたれる。葬り去られる。
ぼくは、レンブラントの絵画と肩を並べるようなことをしたかった。』なんて、
芸術的な夢を語っているからね。すごい人だと思うよ。おれもディランに見習いたいね。あっははは」
「わたしには、ディランの歌って、特に歌詞が難しかったりするんだけど、
やっぱり、すごく芸術家的な人なんでしょうね」と、美結も言う。
「ディランは、ロサンゼルスで『自分を天才だと思いますか?』ってインタヴューされたとき、
『天才?紙一重の言葉だね。天才なのか、頭がおかしいのか?』って、
ユーモラスな返事をしているのさ。あっははは。
あと彼は、『詩を書くからって、必ずしも詩人じゃない。ガソリンスタンドで働く人にも、
本物の詩人はいるよ。』とか、言っていたりね。
あと、『ポピュラーソングは、数ある芸術の中でも唯一、
その時代の気分のようなものを表現できる。だからこそ人気があるんだよ。』とか言ってるしね。
考えかたが、冷静で客観的とでもいうのかな。やっぱ、すごい、ビッグなアーティストだよね」
「天才って感じだわ」と、美結。
「やっぱり、すごいわ」と利奈。
「ディランは、『流行なんかどうでもいい。時代の動きは思っている以上に早い。
流行は追いかけるものではない。自分で新しく作るものだ。』とも言っていて、
これなんか、芸術的活動をするみんなへの貴重なアドバイスだよね。
なにしろ、あのブルース・スプリングスティーンがこんなこと言ってるんだから。
『ボブがいなかったら、ビートルズもビーチボーイズも、セックスピストルズも、U2も、
マーヴィン・ゲイも傑作アルバムを作ることができなかっただろう。』ってね」
「お兄ちゃんも、このマンガを読んで、元気出して、がんばってください!」
そう言って、利奈が、毎週木曜日に発売の『ミツバ・コミック』を信也に差し出す。
そのマンガ雑誌
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