383部分:第五十二話 地獄の猟犬その六
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第五十二話 地獄の猟犬その六
こちらも今まさに激突しようとしていた。四人は同志達と同じく燃え上がる小宇宙をその全身から放っていた。戦いに燃える激しいそれを。
「ここで仇を取る」
「同志達の仇をな」
「それにより私と戦うというのだな」
憎悪の炎をその全身だけでなく目にも宿らす彼等への言葉であった。
「復讐の為に」
「知っている筈だ、狂闘士は同志の仇は何があろうとも討つ」
彼等はこのことを断言さえしてみせた。
「例え相手が誰であろうとだ」
「何処までも追いそのうえで討つ」
こうも言ってみせる者がいた。
「それこそが我等の掟だ」
「狂闘士のな」
「そうだったな。貴様等も己の為に戦っているのではないのだな」
そのことはよく感じ取っていたサガであった。
「その拳、私利私欲の為ではないのだな」
「ほざけ、我等はアーレス様に仕える者」
「この拳はアーレス様の為にあるのだ」
このことは彼等の中ではまさに絶対のことであった。それは何故かというと答えは簡単なものであった。彼等が狂闘士であるからだ。だからなのだ。
「それで何故己の為に振るう」
「アーレス様の為、そして」
ここで言うのであった。
「同志達の為だ」
「だからこそジェミニよ」
彼等の憎悪は今まさに一点に集中していた。
「貴様の首アーレス様に献上させてもらう」
「何があろうともな」
「ではそのつもりで来るのだ」
サガは決して背を向けようとはしなかった。
「私の首が欲しいのならばな」
「では行くぞ」
「いざここで」
彼等もまた戦おうとしていた。それをレダは今は後ろで見ている。しかしその小宇宙は決して弱いものではなく彼のそれもまた燃え上がっていた。
「よし」
まずは一言出した。
「私が戦うべきはだ」
そのうえで見るのはやはり彼だった。
「やはり貴様だな」
彼を見る。しかし今は動かない。
その彼に対してだった。狂闘士達は振り向くことなく告げるのであった。
「ではレダ様」
「そこで御覧になっていて下さい」
まずはこう告げるのであった。
「我等がこの者達を倒すその一部始終を」
「どうかそこで」
「わかった」
レダは今は彼等の言葉に頷くだけであった。それ以上は動こうとはしなかった。だがここで彼はこう彼等に対して告げるのであった。
「多くは言わん。勝て」
「はい」
「無論です」
彼等はここでも振り向くことなく答えたのだった。
「ですからそこで御覧になって下さい」
「是非共」
「アクエリアス、若しもの時はだ」
レダは鋭い目で呟いた。
「私が貴様の相手をしてやる。ジェミニの相手もな」
彼もまた彼の意を決していた。そのうえで戦いを見ていた。そのうえで今そこにいるのであった。
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