第2章 異世界戦記
第35話『異世界』
[3/5]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
でその人は訊いてきた。
声色で判断できるのは、声変わりをしていない歳だということ。そして、優しくて透き通る声・・・あれ、
柊君に似てる。
晴登は思った。
『女子っぽい男子』という所が主な理由だ。中性的な顔とか1人称が“ボク”な辺り、かなり似ている。
さすがに同一人物ではないだろうが、それでも特徴がある程度同じだった。獣の耳まではなかったけど…。
知り合いに似てると思った瞬間、少しばかり親近感が湧いた。
「用って言えば、まぁその…あるんですけど…」
しかし、その親近感を覆す程の『言葉を濁す』というコミュ障特有の技が、今しがた発揮する。
何を言おうか。
そういえば、そんなことも考えていなかった。
つくづく無計画だなと、自分に呆れる。
考えてみるも、思い浮かぶ項目が多すぎて何から話せばいいか分からない。
ここはどこ? あなたは誰? なぜここに?
絞ろうとしても中々絞れない。頭がフル回転し、質問を探り出そうとする。
・・・そうだ。これだけは訊かなきゃ。
晴登は頭の中で見つけたその言葉を推敲し、直後決心して言った。
「えっと…この辺の家で、俺を泊めてくれるような人は居ますか?」
*
「ホントに良いんですか? 泊めてもらっても」
「困った時は助け合わないとね。尤も、あんな言われ方されると断りにくいよ」
「そんなつもりじゃなかったんです…」
晴登はとある家に来ていた。その家は先程知り合った彼の家である。
裕福とは言えないが、貧乏とも言い切れない。造りはしっかりしていて、イメージは『ログハウス』だが、そこまでいくほど頑丈でもない。
一言でまとめると『木造の小さな一軒家』である。
「まぁいいよ。それにしても珍しいね、この村に来る人がいるなんて」
「え、ここって人口少ないんですか?」
「王都が近くに在るんだけど、この村には特に何もないから。そんなことも知らないのにここへ?」
「あ、はい…」
先程より幾分話せるようになったが、まだ敬語が抜けない。
それは相手も気づいたようで、ニッコリ笑うと一言、
「そんなに固くならなくてもいいよ。見たところ歳も近そうだし。…あっと、そういえば自己紹介がまだだったかな。ボクは“ユヅキ”。よろしくね」
早々と自己紹介を終えた、ユヅキと名乗る少年。苗字とかがないのが、とてもファンタジーっぽい。
しかしそうも簡単にやられると、かえって自己紹介にプレッシャーがかかるというものだ。
晴登はしどろもどろになりながら自己紹介を始める。
「えっと…俺は三浦 晴登、歳は12。その、よろしく…お願いします」
「え、ボクも12歳だよ? なんだ同い年か
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ