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艦隊これくしょん【幻の特務艦】
第三十話 作戦準備
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「何か言いたいことがあるようだな。」
椅子に座りなおした長門、そしてその傍らに立つ陸奥に向かって飛龍はうなずいた。
「航空部隊の一員として一言だけ。赤城の作戦は一つ間違えば艦隊皆が全滅します。敵はミッドウェーだけにいるんじゃないもの。他の海域から増援部隊が到着すれば、私たちは包囲されてすりつぶされるだけです。それに・・・この作戦は一糸乱れぬ連携が必要になります。敵を引きずり出すタイミングも、突入のタイミングも、時間表のように正確でなくてはならないもの。でも・・・・。」
飛龍は躊躇いがちに次の言葉を口にした。
「私たち、こないだの軋轢から立ち直れたのかな。」
「あぁ。わかっている。私も聞きながらそれは思っていた。だが――。」
長門は首を振りながら片手を上げたが、目を開けて飛龍を見た。
「だが、ほかに方法はあるか?」
「・・・・・・・・。」
「私もずいぶん悩んだが、赤城の作戦方針以外に思いつきそうにない。迂回は無理だ。そして太平洋上ノース・ステイトとヤマトを結ぶ線上にはミッドウェーとハワイ、これ以外に適切な補給地点は存在しない。洋上補給も考えたが、今のヤマトには大規模な補給艦隊を派遣する力は残っていないし、第一洋上の補給は敵に包囲される可能性が大だ。危険すぎる。」
「はぁ、そうなんですよね。まったく・・・・ここまで選択肢が狭められる作戦なんて初めてです。戦術でカヴァーするとは言っても、戦略的には敵が待ち構えている海域に真正面から挑んで決戦するなんて・・・・。」
「なら、このまま出撃せずに時を過ごすか?」
飛龍は首を振った。
「そんなのダメです。このまま待っていてもジリ貧に陥るだけですし。それに・・・。」
飛龍は不意に顔をほころばせ、あの人懐っこい笑顔を浮かべた。
「私は赤城が好きですし、他のみんなも好きです。でも、私たちの役目はヤマトを護ることです。そうでしょう?そのヤマトを護ることに、ノース・ステイトへ赴くことがつながるのなら、私は喜んでいきます。」
「よく言った。」
長門は立ち上がった。
「その通りだ。私は大局的な意義から目をそらしていたのかもしれない。確かに作戦は無謀だ。だが、その作戦以外に取りようがないことが明白になった以上、もはや躊躇いは無用だ!!」
陸奥、と長門は傍らの同型艦娘を見た。
「直ちに全艦隊指揮官を召集し、作戦会議を開催する。飛龍、すぐに会議の手配をするように大淀に伝えてくれないか?」
「了解!」
「でも、まだあの件が――。」
飛龍が退出した後、陸奥が心配顔でそう言った。
「いや、いい。陸奥。事ここに及んだ以上は、皆で総力を挙げて挑まなくてはこの戦いに勝てない。私はそれに気が付いた。考えてみれば、私の疑心暗鬼の結果が、艦娘同士が対立する空気を作り出したのかもしれない。艦隊総指揮
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