第三十話 作戦準備
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動部隊にはこれまで確認できなかった大型空母が、そして水上部隊には超弩級の深海棲艦が確認されています。ですがこれだけではありません。周辺には機動部隊や水上部隊が何個艦隊も存在し――。」
諸島周辺に駒が配置されるたびに長門たちの表情が曇っていく。
「赤城。」
長門が地図を見つめている赤城に顔を向けた。
「これでは勝負にならん。沖ノ島の時ですら、敵はわが方の倍以上だった。ところが今回のミッドウェー諸島にはこの沖ノ島の倍以上の敵が配備されている。文字通り鉄桶のごとくびっしりと深海棲艦で埋め尽くされている。私たち全軍が攻めかかっても勝負にならんだろう・・・。」
もっとも、長門にはある案があった。ミッドウェー本島攻略に当たり、長門自身も何度も作戦を立案したが、この方法しかないのではないかと思うところに至っている。だが、問題はその案自体がリスクを伴うものであり、一つ間違えば全滅する可能性が大きい事だった。赤城は長門をちらっと見たが、また地図に視線を戻した。
「いっそ、ミッドウェーを無視して、全軍でノース・ステイトまで一気に走るのはどう?」
「陸奥らしくもないな。何千キロあると思ってるんだ。とても昼夜兼行で行ける距離ではない。我々は機械ではないのだぞ。走り続ければ疲労するし、腹も減る。どこかで補給と休息をとらなくてはたどり着けない。せめて・・・・。」
「ん?」
「せめて向こうもノース・ステイト側もこちらに向かっていれば距離は半分、いや、縮まるだろうが・・・。」
そうだといいのだが、というのは声に出さないが全員の想いだった。だが、深海棲艦の出現から既に数年たっている現在において、いまだ向こうから接触がないということは艦隊を差し向けていないのか、あるいは差し向けたものの途中で撃破されてしまったのか。
後者の考えは現実であってほしくないものだった。
「他のコースはどうですか?たとえばミッドウェーを迂回してハワイを攻略するとか。」
比叡が提案した。
「ミッドウェーとハワイとは比較的距離が近いし、あそこを攻め落としたとしてもミッドウェーから攻撃される恐れが十分にある。何よりもミッドウェーはハワイの前面にあるし、この駒の配置では偵察部隊を入れると相当の広範囲に敵が展開していると思っていい。であればそれらの目をすり抜けてハワイに接近するのは至難の技だろう。また、ハワイにも深海棲艦が居座っている可能性は大だ。やはり・・・・。」
長門はぴしりと友軍の駒をミッドウェー諸島に置いた。その音は鋭く会議室内に響いた。
「ここしかないか・・・・・。」
「長門秘書官。」
赤城が顔を上げ、落ちかかる長い黒髪をかき上げた。
「ミッドウェー諸島を落とし、基地航空隊と強力な陸戦部隊を展開すれば、深海棲艦に対抗できると考えてよろしいですか?」
「あぁ。島をひとたび
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