第三十話 作戦準備
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理がつかないんです。いいえ、もう死のうなどとバカなことは考えませんけれど、それでも綾波さんの事をいつまでも考えてしまう・・・・たぶんもう少し時間が必要なんだと思います。ごめんなさい。不甲斐なくて。」
「私たちみんなも一日だって綾波のことを忘れたことはないわ。だから自分だけが綾波のことを思っているような言葉はやめてほしいわね。」
言葉は辛辣だったが、ビスマルクの声には鳳翔を思う気持ちがあふれていた。
「辛いことは私たちに吐き出してよ。さっきあなたも言ったばかりでしょ?私たちも、皆も、同じ仲間なんだからね。」
「ありがとうございます。・・・あら?」
ギッギッと気のきしむ音に鳳翔が顔を上げた。3人が廊下の端を見ると、やや小柄な艦娘が廊下を歩いてくるのが見えた。
「瑞鳳さん。」
「今晩は。私まで色々ご馳走になっちゃって。」
「いいえ、堪能しましたか?」
鳳翔が微笑んだ。
「はい!だから明日は私が皆に卵焼きを振るまいますね!」
「お主はお客なのだから、そんなに無理をすることはないぞ。」
「いいえ!卵焼き、作るのが大好きですから!」
瑞鳳の返事に利根は面食らった様子で、
「そ、そうか?それならばいいのだが・・・・それよりお主、佐世保鎮守府に帰らなくていいのか?」
「私も帰りたいんですけれど。」
瑞鳳は顔を少ししかめた。
「でも、呉鎮守府指揮下に入って作戦を完遂してから戻れって上から言われてますし。第一横須賀鎮守府に派遣されたのに中途半端に私だけ帰されるのって・・・・よくわからないですよね。どうしてそうなるんだか。」
瑞鳳は淡々としゃべっているが、どこか寂しそうだった。一人だけ帰されれば、何かしたのかもしれないとあれこれ考えてしまうのも無理もない。
そっと瑞鳳の肩に手が置かれた。
「大丈夫ですよ。」
鳳翔がうなずいていた。
「瑞鳳さんのお力はここ、呉鎮守府で必要とされるものです。一緒に行ってくれますよね?」
「・・・・でも・・・・。」
「瑞鳳さん。いえ、空母瑞鳳。」
改まった鳳翔の声音に瑞鳳は顔を上げた。
「わが提督はあなたの力に期待するところ大なのです。私同様艦載機の数は正規空母に及ばないあなたですが、精鋭を率いての実戦経験は私以上の物です。自信を持ちなさい。そして、私たちに力を貸してください。」
「鳳翔さん・・・・。はい、はい!!私、頑張りますね!!」
そばで見ていたビスマルクと利根は胸を痛めていた。鳳翔はあの護衛作戦で綾波を失った。その痛手はまだ生々しいのに、それを表に出さず凛としている。
「鳳翔さんは・・・・。」
「ん?」
「・・・・強い。本当に強いわ。私、戦艦なのに・・・・心から思う。鳳翔さんにはかなわないと。」
「純粋な火力や砲雷撃戦での強みが艦娘の強さではないからな。本当の強さを左
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