Track 3 STOMP:DASH!!
活動報告15 みゅーじっく ・ すたーと! 2 『ファーストライブ』
[4/6]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
あからさまに棒読みだってわかる口調でお姉ちゃんが声を上げる。
私達が驚いて足を止め、お姉ちゃんの方を見つめると、今度は海未さんが――
「わたしたち、まだ制服のままでしたー」
「あー、ほんとうだー! どうしようー! いしょうチェックしないとだしー」
同じように棒読みで声を上げる。その言葉に、ことりさんが言葉を繋げる。
唖然と見つめる私達を余所に――
「打ち合わせもあるのにー! もう、おきゃくさん半分いじょう入場しているよー」
「ダンスもチェックしないと、いけないニャー! まだライブは、はじめられないニャー!」
花陽さんと凛さんが言葉を繋げていた。と言うより、なんで全員棒読みなの?
そもそも、わかっていて話し込んでいたんじゃないの!?
そんな感じで、正直言っている意味が理解できないでいた私達に苦笑いを浮かべながら――
「……まぁ、これは誰かに前座でもしてステージを温めておいてもらわないとダメね?」
真姫さんが、そんなことを言い切るのだった。
まぁ、ライブが開始できないんだから、誰かに前座をしてもらうのが妥当なんだろう。
いや、普通に待っていてもらうだけでも良いんじゃない?
そもそも、お姉ちゃん達は今まで1度だってそんなことをしたことはない。
それに、突然前座なんて言っても誰もいないんじゃ?
私はそこで、あることに気づいた。そう、適任者がいることを!
えっ、その為に呼んだの? そんなサプライズ??
「…………」
「…………」
私は咄嗟に羨望の眼差しで絵里さん達を見つめる。
そう、絵里さん達にしろツバサさん達にしろ彼女達以上の適任者なんていないじゃん!
だから、お姉ちゃん達は芝居をしたんだろうと思っていたのだけど。
絵里さんは私の眼差しに気づくと苦笑いを浮かべて「生憎だけれど、私達ではないわよ?」と言いたげに首を横に振るのだった。
まぁ、冷静に考えれば? 先輩後輩を禁止しているとは言え、絵里さん達は卒業生。お姉ちゃん達よりも目上なんだ。
目上の人を前座にするなんてお姉ちゃん達が考える訳はないだろう。
更にツバサさん達は完全なお客さんであり現役のアイドルなんだから、どう考えても頼まないと思う。
でも、そうなると誰が務まるの? 他に誰もいないじゃん!
そんな風に自分達のライブでもないのに、何故かパニックに陥りかけていた私の耳に――
「そんな訳だから、雪穂と亜里沙ちゃんと涼風ちゃん? 私達の前座をお願いできるかな?」
ごく自然に紡がれたお姉ちゃんの言葉が聞こえてきたのだった。
♪♪♪
「…………」
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ