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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第百八十四話 副司令長官
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制御出来ない副司令長官と冷静で有りすぎる司令長官。歳が離れているならまだしも二人は殆ど年齢は変わらない。これでは周囲の人間から見てローエングラム伯の未熟さだけが目立ってしまう。皆が司令長官に近づくのも無理は無い。人を統率するのは才能だけの問題ではないのだ。
配下の艦隊司令官達は皆ヴァレンシュタイン司令長官が挙げた武勲に賞賛を送っている。そしてそれが出来ないローエングラム伯に不満を持っている。他者の功績を認めることが出来ない人物に上に立つことが出来るのだろうかと……。
帝国暦 487年 12月17日 帝国軍総旗艦ロキ エーリッヒ・ヴァレンシュタイン
「司令長官閣下、申し訳有りませんでした」
総旗艦ロキの艦橋に四人の提督が集まっている。メルカッツ、ケスラー、クレメンツ、ケンプ、フレイア星系を制圧していた指揮官たちだ。アイゼナッハはレンテンベルク要塞の監視をしているらしい。皆面目無さげな表情をしている。
確かに彼らはミスを犯した。フレイア星系の制圧に気を取られシュターデンの艦隊がフレイア星系の外縁をすり抜けるのに気付かなかった。メルカッツは副司令長官なのだ。戦局全体を見なければならないのにそれを怠ったのは重大な失態だ。
それが致命的なミスにならなかったのは貴族連合軍が適切な軍を編制しなかったからに他ならない。言わば俺たちは敵のミスに助けられたのだ。自慢になる事ではない。
戦争である以上、人間のやることである以上ミスは起きる。どちらが勝利者になるかは、ミスの度合いが小さいほうはどちらか? 相手のミスをより効果的に利用したのは誰か、で決まるのだが……、それよりちょっと鬱陶しいな、こいつら!
俺が提督席で毛布かぶって座っているのを見下ろすんじゃない。俺は見下ろされるのが好きじゃないんだ。おまけにこんな体調の悪い所を見られるのは誰にとっても面白くないだろう、少しは察してくれ。
「座りませんか」
俺は席を勧めたが、誰も座ろうとしない。
「これでは落ち着いて話も出来ないでしょう、座ってください」
出来るだけ穏やかに、にこやかに席を勧めた。メルカッツ達は顔を見合わせてから躊躇いがちに席に座った。世話の焼ける奴らだ。
「気にしないでください、メルカッツ提督。全てが思い通りにいく戦争なんて有りません」
「ですが」
「今回はシュターデン大将がなかなか上手くやりました。まあ最後で艦隊を分ける等と失敗しましたが」
「……」
いかんな、メルカッツは責任を感じているようだ。気分をほぐそうと軽口を叩いたのだが誰も笑わない。俺はこの手の場の雰囲気をほぐす冗談が下手らしい、困ったものだ。
俺は彼らを叱責しても良い。叱るべき時に叱る、それは当たり前の事なのだが今が叱るべき時なのかと言われると
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