じゅごん
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ルの箱を取り出した。半透明のパラフィン紙に包まれた四角いキャラメルが、ころりと手のひらに転がる。
「いくら飢饉とはいえ、やはり『それ』は禁忌だろ。最終手段だろ」
二つ出したキャラメルを一つ、俺の手のひらに落とし、奉は自分のキャラメルを剥いた。
「じゅごんの絶対数は、そんなに多くはない筈なんだがねぇ」
増えているんだよねぇ、じゅごんが。そう呟いて、奉はキャラメルを口に含んだ。
「何が起こっているのかねぇ…」
じゅごんに引き込まれた人もまた、じゅごんになるのか。
それとも何処かでまだ、同じような惨禍が繰り返されているのか。
いや、もしかして…じゅごんはそもそも、飢饉とは何の関係もない、只の海で死んだ者達なのか。
奉は俺に竿を手渡し、クーラーボックスを持ち上げた。
「こっちはもう少し借りるぞ」
「もういい。それにアイスやジュースを仕舞う気になれない」
「そうか。…それとその竿で魚を釣ると、じゅごんを呼ぶ」
「えっ?」
「じゅごんを寄せるのに、散々使ったからねぇ。だから一箇所で長いこと使うな。…ただ、鬼のように釣れるぞ。要るか?」
ふざけんな呪物じゃないかそんなもの。こいつ最初からクーラーボックスも釣り竿もせしめる気だったんじゃないか。俺は結局、竿も突き返した。
翌日、この埠頭から10キロ程沖で大型客船が転覆する事故が起きた。
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