二十三話:プールサイド
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手には剣を携え、一部の隙もなく構える、太陽の騎士ガウェイン。
だが、プールなので律儀に海パン一丁である。
「うむ、わざわざこのような場所まで来るとは、いささか野暮ではないかね?」
「御託は良いのです。いいから払いなさい」
「そうは言われてもな。今ここで私が倒れれば、融資者である君達もただではすむまい」
最強の借金取りに対して、得意の弁論を始めるカエサル。
彼には国家予算並みの借金をしながらも『自分が倒れれば、負債を負うのはお前だぞ。だから、もっと私に金を貸して出世させるのだ』と言って、さらに資金を提供させたという逸話がある。
それほどに、彼の弁論と戦略は優れたものであるのだ。
しかしながら、太陽の騎士の行動は非常にシンプルなものであった。
「午前の光よ、借金を返したまえ!」
容赦なく聖剣を振りかざし、カエサルに襲い掛かる。
カエサルは舌打ちをしながら避けるが、その表情から余裕は消えていた。
「暴力か。ああ、実に、実に、合理的だ! 弁舌で勝てぬ相手ならば、有無も言わさずに斬りかかれば良い。私でもそうする。いかにペンは剣よりも強しと言えど、ペンを握る手を斬り落とされれば、どうすることもできぬからな!」
「さあ、ローマよ。我が王の威光の前に、財布を差し出すのです! あのルキウスのように!」
「適材適所ではないな。一騎当千の騎士を相手にするには、私ではいささか荷が重い」
一片の曇りも苦渋も無く、取り立てに来る太陽の騎士に、カエサルは高速で思考を行う。
得意の弁論は封じられ、筋の通った言い訳も聞く耳を持たない。
ならば、残された道は1つ。
「―――逃げるに限る」
三十六計逃げるに如かず。
形勢が不利であれば、後ろを振り向くことなく逃げるべきである。
しかし、太陽の騎士がそれを認めるはずもない。
「この剣は太陽の映し身。かつ負債を回収するもの……エクスカリバー―――」
借金を背負うものを確実に捕まえるために、聖剣の力を開放する。
それでいいのかと問いたくなるが、王のためならば泥を被るのも覚悟の上だ。
太陽の力の一端を今まさに、解き放つ―――
「はいはい。他のお客さんの迷惑になるので外でやってくださいね」
だが、二人の体は黄金の鎖によって絡めとられてしまう。
肌の露出の多い服で拘束と書けば、青少年の喜びそうな展開だが現実は酷いものである。
ガウェインはまだ、お姉様方が喜びそうな姿だが、カエサルに関しては目も当てられない。
ローマ人全ての、夫であり妻であると言われた男も、こうなれば形無しである。
「この二人、どうしましょうか?」
『ダストシュートから、外に出せばいいんじゃない?』
「それもそうですね
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