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聖闘士星矢 黄金の若き戦士達
378部分:第五十二話 地獄の猟犬その一
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第五十二話 地獄の猟犬その一

                  地獄の猟犬
 雪原の中で対峙するカミュとレダ。その中も黒い炎が降り続けている。 
 しかしその炎は今は効果を見せてはいなかった。何故なら。
「消してくれているな」
「軽いものだ」
 カミュがレダのその言葉に返した。
「この程度のことはな」
「何でもないということか」
「見るのだ」
 見れば聖闘士達の周りに雪を漂わせていた。その白い雪と黒い炎が触れ合うとそれで相殺され互いに消えてしまっているのであった。
「この雪をな」
「その雪も貴様のものということか」
「言った筈だ。私は水と氷を自在に操れるとな」
 彼はこのことをここでも言うのであった。
「この程度のことは造作もないことだ」
「では。この炎は意味がないということか」
 カミュのその雪を見てすぐに判断を下したレダだった。すると。
 黒き炎が消えた。舞い降りるものがなくなった。瞬く間にであった。
「ではこれは止めよう」
「止めるのか」
「そうだ。そして言い忘れたことがある」
 今度はこうも言ってきたレダだった。
「今度の罠だが」
「罠か」
「それは私自身だ」
 こう言うのである。
「この私自身がだ」
「それはどういうことだ?」
「こういうことだ」
 この言葉と共にだった。聖闘士達を囲む様にして。異形の者達が姿を現わしてきたのであった。
「な、何だ!?」
「何だこの連中は」
 聖闘士達はその異形の者達を見て声をあげずにはいられなかった。
「狼!?」
「いや、違う」
 狼ではないことはすぐにわかった。
「黒いぞ」
「しかも燃えている」
「まさか」
「そうだ。そのまさかだ」
 またしてもレダの不敵な笑みを見ることになった聖闘士であった。そしてその笑みが何を意味するものかということもまた最早明らかであった。
「この猟犬達は私が作り出した猟犬達だ」
「その黒い炎でだな」
「如何にも。名付けてヘルハウンド」
 こう言うのである。
「我が黒き炎によって作り出されたアーレス様の猟犬達だ」
「ちっ、炎の猟犬かよ」
「またとんでもねえの作りやがるぜ」
「そしてだ」
 レダの不敵な言葉は続く。
「これはただ単に炎で燃え上がっているだけではない」
「ふん、動くのだな」
「自分から」
「その通りだ。この猟犬達は皆我が分身達でもある」
 今度は白銀の二人の言葉に応えるレダであった。
「私のな」
「ということはだ」
「貴様のその考えと共に動くというのだな」
「如何にも。だからこそ私の分身なのだ」
 だからだというのである。
「私のな。さあ、話はここまでだ」
「来るか」
「受けよ、アテナの聖闘士達よ」
 あらためて聖闘士達に告げてみせてきた。

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