巻ノ六十一 姫武将との戦いその十二
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「怯むな!このまま戦え!」
「はい、そしてですな」
「今の敵襲を防ぎ」
「撃退した後は」
「城を」
「うむ、攻めよ」
まさにというのだ。
「その時はな」
「佐吉、それはよいが」
大谷も自ら戦いつつ石田に言う。
「この状況ではじゃ」
「城を攻めることはか」
「無理じゃ」
こう言うのだった。
「残念じゃがな」
「風魔も来ておるからか」
「風魔は源次郎殿が防いでくれていても」
それでもというのだ。
「数が多い」
「確かに。思ったよりもな」
「だからじゃ」
「今宵はか」
「諦めるしかないやもな」
風魔の手裏剣を手にしている刀で弾き返しつつの言葉だ。
「また次じゃ」
「くっ、成田殿もやるわ」
「伊達に北条家きっての名将ではない」
「そう言われているだけはあるか」
「そういうことじゃ」
まさにというのだ。
「だからな」
「しかしじゃ、攻められるならば」
「攻めるべきじゃな」
「そう思うがどうじゃ」
「わしもそう思う」
大谷は石田の傍に来て彼に答えた。
「この攻めを凌いで相手に隙があればな」
「その時はじゃな」
「一気に攻める、今は左近が近くにおるが」
忍城のそこにだ。
「我等もじゃ」
「攻めるべきじゃな」
「うむ」
「源次郎殿もおる」
浅野もいるが彼も戦っている、浅野は弓矢を放っているが闇夜の中なので中々相手に当てられないでいる。
「だから何としてもじゃ」
「防ぎか」
「そのうえで隙を見て攻める」
「そうすべきじゃな」
「そうじゃ」
まさにというのだ。
「ここはな」
「難しいにしてもやるしかない」
大谷は意を決した顔になった、それは鬼の様な凄みがあった。
「戦の常じゃな」
「では桂松よ」
「難しいのは理由にならぬ」
石田にも強い声で返した。
「ならば朝になろうとも敵が退けばじゃ」
「攻めるか」
「そうするぞ」
攻め落とせるのなら日が昇ってもというのだ、そう決意してだった。
本陣でも戦が続いた、双方一歩も引かぬ戦いが闇夜の中で行われていた。それは朝になろうとも行われようとしていたが。
小田原においては状況が変わっていた、だが幸村達はまだそのことを知らずさらに戦いを行っていくのだった。
巻ノ六十一 完
2016・6・12
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