第53話 人形
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替えはこれぐらいしかねぇから着ろよ」
脱衣場に黒い影が動いて、着る物を置いたようだ。
ミサカがお風呂を済ませると籠の中に黒い服が置いてあった。
「これを着るのですか」
赤い雲のような模様が刻まれた『暁の装束』だ。
普通の服とは違うのでミサカは戸惑ったが、テスタメントにより学習したストックにあり、袖を通す。
すっかり暁の外套を身に纏ったミサカは、この世界の主であるサソリを探した。
サソリは傀儡人形が置かれている部屋に居て作業をしていた。
そこでサソリは何か人の形をしたモノを横たわらせて、慣れた手付きで組み立てていた。
「あのー、少し良いですか?」
「ん?......」
サソリは傀儡作成用の道具を置いて、後方に居るミサカと向き合った。
木山と研究施設を襲撃をした時に際立っておかしい人物だ。
サソリの脳裏には、つい先日交わされた本物(オリジナル)の御坂の言葉を思い出した。
ねえ、分身ってあたしも出来る?
できねーの?お前くらいなら簡単だと思うが
そういう能力者なら出来るんだけどね。あたしには全然
便利そうで不便だな
まさか御坂が影分身を修得したのかと思ったが、ゼツの命令を聞いていた時点でその存在自体は曖昧なものとなる
「ミサカは人形なのでしょうか?」
「!?」
「ゼツ様に言われました......ミサカは今後どうすれば良いのでしょう」
「そうか......」
サソリはそう言うとミサカの指にチャクラを飛ばして修理したての風影の傀儡にくっ付けた。
ミサカの後ろにサソリは回り込み、アシストをするようにミサカの手に触れて、視点を同じ位置に持ってくる。
サソリがチャクラを籠めると風影は意志を持ったかのように宙に漂いだした。
「これが傀儡と呼ばれるものだ」
「くぐつですか?......操り人形を意味しますね......とミサカは今後の展開が分からないように言います」
「よし、少しだけ操るぞ。しっかり見ていろよ」
サソリが指を動かすと吊られてミサカの指も連動した。
サソリが指を曲げれば、ミサカも曲げ、腕を前に出せば、ミサカも前に出す。
傀儡はミサカの指に呼応するように部屋の中を縦横無尽に動き回り、口を開けたり、腕を振り回している。
まるでミサカ自身が風影の傀儡を操っているような錯覚を受けた。
初めての経験に鉄面皮のミサカの表情は少しだけ綻んだ。
「今、どんな事を考えた?」
「え?意外に楽しいな......とミサカは素直な意見を言います」
「なら......それで良いんじゃねーか」
「?」
「ゼツの野郎に変な事を言われたが......自分が楽しいと思えるなら、人形じゃねーよ。それまで捨てたら本物の人形になるがな」
それはかつての自分に跳ね返ってく
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