Track 3 STOMP:DASH!!
活動日誌13 それは・ぼくたちのキセキ! 2 『ファーストライブ』
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座って話をしていた。
2人は私達に気づくと、特に何も言わずに優しい微笑みを浮かべてくれている。
2人から何かアドバイスとか励ましの言葉はなかった。だけど、それで良いんだと思う。
だって、みんなの想いはしっかりと受け取っているんだから!
それに、今の私達には言葉は余計にプレッシャーになることを、自分達も経験して知っている2人。
だから何も言わずに微笑みを浮かべてくれたんだろう。それにね?
「雪穂ちゃん達なら大丈夫! 自分達の思い描いたステージを精一杯楽しんできてね」
2人の笑顔に包まれた部室の空気、そしてお姉ちゃん達を見守り続けてきたこの空間が私達に、そう語りかけている気がするから。
私達は精一杯自分達のステージを楽しむことだけ考えていれば良いんだ!
そんな風に感じていたのだった。
私達は今持てる精一杯の答え。満面の笑みを2人に返すと、足早に部室を出るのだった。
いよいよだ! 私達の願いが本当に始まろうとしているんだ!
私は脳内で、お姉ちゃん達のアノ曲を再生していた。
そう、この瞬間は私達の奇跡。紛れもない奇跡なのだと思う。
偶然の欠片を、諦めずに集め続けた私達の奇跡の始まり。
だけど、始まりは始まり。終わりなんかじゃない。これからなんだ。
うん、ライブが終わってもいないんだし? 当たり前なんだけどね。
ライブが終わった時に、私達がどんな気持ちになっているのかなんて、今は全くわからない。
だけど、少なくとも「やって良かった」って思えるステージにしたいと願っている。
それが今、私達の身を包んでくれている『お姉ちゃん達の想い』と――
私達を支えてくれている『みんなの想い』なんだと思うから。
講堂を目指して歩いている私達は、終始無言で目的地へと足を進めていた。
廊下の窓からは、部活説明会で賑わう生徒達が視線の先に映っていた。
だけど私達の気持ちは揺るがなかった。別に、そんな余裕がなかったからじゃないよ?
もう私達の心はみんなの想いで埋め尽くされていたから。ただ、それだけ。
私達は自分達のステージに集中する為に、あえて言葉を交わさずに、見つめ合うこともせずに――
真っ直ぐに前だけを向いて、講堂へと足を踏み入れるのだった。
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