Track 3 STOMP:DASH!!
活動日誌12 たからものず! 2 『ファーストライブ』
[1/4]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
チラシ配り――
もちろん想像はしていたのだけれど、かなり大変なことなんだって理解できた。
だって誰も受け取ってくれないんだから。とは言っても、お姉ちゃん達の頃とは違うんだろうけどね?
一応、生徒全員が学院のスクールアイドルの存在は知っているだろう。さすがに、お姉ちゃん達を知らないって生徒はいないだろうしね?
だから私達を気にする人は大勢いる。
でも、私達にじゃない――お姉ちゃん達のチラシだと思う人がほとんどだった。
この学院でライブと言えば、真っ先にお姉ちゃん達を思い浮かべるだろう――うん、私達の存在なんてそんなものだからね。
私も最初はただ「ライブを開催する」としか言っていなかった。
だけど、その声に反応して近づいてくる人は決まって――
「あの…… μ's のライブですか?」
そう、聞いてくるのだった。
とは言っても、ユニット名の発表をしていないだけの話だよ? それか、ローカルアイドルとしての話かも知れないんだけど。
6人で活動することは、みんな知っている――でも、何て呼べば良いのかわからないから μ's って言ったんだと思う。
もちろん、嘘をつくつもりもないから――
「……いえ、私達のライブなんですけど?」
そんな風に苦笑いを浮かべて答える。
その言葉を聞いた彼女は、一瞬驚いて「えっ? あなたもスクールアイドルだったの?」と言いたそうな表情から、バツの悪そうな苦笑いの表情に変えてチラシを受け取ると、ソソクサと校舎の方へと歩いていった。
きっと彼女はライブに来ないと思う――だって、お姉ちゃん達のライブだと思って近寄ってきたのだから。
そんな風なことが数回続いた時点で、私達のと付け加えることにしたのだった。
すると、途端に誰も見向きもしなくなった。目の前に差し出されて反射的に受け取る人はいたけどね?
そんな現実を前に、頭では理解していたけど凄く悲しい気分になる。
諦めようかとも思い始めていた――そんな考えが亜里沙と涼風の表情にも表われていた。
「――ッ! ――私達のライブを開催しまーす! よろしくお願いしまーす!」
だけど、私は前を見つめて精一杯の声を出して前に進んだ。
世の中そんなに甘くない――お姉ちゃんの言葉が脳裏に木霊する。
わかっていたことだもん! これが私達の望んだ道なんだもん!
これくらいで諦めるくらいなら、お姉ちゃん達に強がりなんて言わないから!
だからライブまで続けるんだ! 1人でも多くの人に受け取ってもらうんだ!
そんな気持ちでチラシを配り続けた。
「……よろしくお願いしまーす。私達のライブを開催しまーす」
「……お願いしまーす! 私達のライブを
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ