Bonus Track 2 Leap Day
活動日誌EX さにーでい・そんぐ!
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らともなく歌声が響いてくる。その歌声を聞いた彼女は何故だか心が暖かく、軽くなる感覚にかられる。それまで無意識に張っていた肩の力を抜き、笑顔を浮かべて走る彼女。
そして水溜りの端へたどり着くと、両手を水平に広げて目を閉じ、笑顔を浮かべて踏み切った。
優しい歌声に誘われるように水溜りを飛び越える彼女。そんな彼女を見守る2人の目の前で彼女は水溜りの先へと――。
♪♪♪
「……そんなこともありましたね?」
「あの時の穂乃果ちゃん、心配でハラハラしていたんだよぉ?」
「あはは。ごめんね?」
此処は音ノ木坂学院の生徒会室。絵里達の卒業式を直前に控えて大忙しの3人。
そんな作業の合間に、ふと思い出したかのように語り出した穂乃果の思い出話を、海未とことりは懐かしむように聞いていたのだった。
「……今だから言いますが、実はあの時の光景が目に焼きついて、その後も穂乃果達をずっと見ていたのですよ?」
「えっ?」
「あー、だからアノ時に穂乃果ちゃんが見つけられたんだね?」
「そうなりますね? なのに穂乃果ったら、いきなり人に鬼を押し付けるんですから――」
「ごめんなさい!」
「いえ、感謝はしているのですから問題はありませんよ?」
思い出話の日の数日後。公園で鬼ごっこをして遊んでいた穂乃果達。その光景をアノ日と同じように木の陰から見つめていた海未。
アノ日の光景が忘れられない。きっと彼女と一緒なら、これからも素敵な光景が見られるかも知れない。
自分自身も変われるかも知れない。そんな思いがあったから彼女は友達になりたいと願っていたのだが、元来の恥かしがり屋な性格が災いして声をかけられないでいた。
そんな風に見つめていた海未のことを穂乃果が気づいて彼女を見つめると、彼女は慌てて木の陰に隠れてしまった。
せっかく気づいてもらえた。声をかけるチャンスだったのに。
やっぱり恥かしくて、踏み出す勇気がなくて、とても悔しい気持ちになっていた彼女。
もう諦めるしかないのだろうか? やっぱり自分には無理なんじゃないか?
そんな風に思い始めている彼女に――
「――あっ! 見ぃーつけたっ! えへへ」
目の前に現れた穂乃果が満面の笑みを浮かべて声をかけた。あまりに突然のことに驚きを隠せないでいる彼女に向かって――
「次、あなた鬼だよ?」
そんなことを言い放つのであった。何があったのか理解できないと言いたげな困惑の表情を浮かべる彼女に、穂乃果は再び満面の笑みを浮かべると――
「いっしょに遊ぼっ!」
ごく自然に、そう伝えた。その言葉と笑顔に彼女の求めていた素敵な光景を感じていた彼女は、嬉しそうに瞳を輝かせるのであった。
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