第6話 ドラゴン、出てきてしまう
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分が、一番得をしてしまう。
嘘をつかれ裏切られていたデュラは、そのことを知らないまま死ぬ。
勇者一行は真実を知らず勘違いしたまま、デュラを手にかける。
そして自分は何の罰も受けず、頂級冒険者としてのうのうと生きる?
そんなことが許されていいはずがない。
それに……。
勇者に言われるまで、その解決方法に気づかなかったこと。
そして、さっき町で討伐の話を聞き、ここまで反射的に飛んで来たこと。
もう認めるしかない。
やっぱり自分は、デュラに死んでほしくないと思っている。
もしかしたら、死んでも死なせたくないと思っているかもしれない。
死ぬのが怖くてここまで騙し続けてきて、追放用の船まで用意してしまったくせに、だ。
もう大矛盾だ。
その矛盾は……ここで解消しなければならない。
ソラトは、剣を仕舞った。
「どいてくれるんだ?」
「いや、どきません」
「?」
ソラトは、ひざまずき……。
土下座した。
「ええと。どういうことかな」
勇者の困惑した声。
「僕は、ここにいるドラゴンと一年以上過ごしてきて、これからも生きていてほしいと思っています。自分が死んででも、生きていてほしいと思っています」
「え? そう言われてもな……。そのドラゴン、きみと一緒にいたということは、もう人間にとって無害なのかい?」
「無害かどうかは、僕にはわかりません」
「わからない?」
「はい。僕はそのドラゴンに嘘を――」
と、その時。斜面のほうから、大きな音がした。
勇者が斜面のほうに目を向ける。
ソラトも頭を上げ、振り返って斜面を見た。
大きな音は、瓦礫が崩れる音だった。
デュラが、ドラゴンの姿のまま、外に出てきた。
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