暁 〜小説投稿サイト〜
幽雅に舞え!
雷と暗雲の街、キンセツ
[3/7]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
さんも困ってしまうよ」
「だけどさ・・・」
 
 小馬鹿にしたように言うルビーにやはり戸惑いを隠せない様子のサファイア。

「あの・・・俺のほうから言うのもなんですけど、いいんですか。見張りがこんな風で」

サファイアがそう聞くと、見張りの一人の恰幅のいいおじさんが笑って答えた。

「坊っちゃんたちが変なことさえしなきゃあ、存分にこの町を楽しんでくれて勿論オーケー牧場さぁ。そうだ、この町にはゲームセンターがあるんだが、そこで遊んでくかい?」
「でも、ジムリーダーの人はすごい疑ってたみたいだったけど・・・」

 ああ、それはなあ。と。おじさんの顔が少し曇る。内緒にしといてくれよ。と言って彼は話はじめた。
 
「実は・・・ネブラ様も本当はこんなことなんてしたくねえのよ。町に来てくれた、しかもジム戦にきたトレーナーにこんな真似・・・でも、あんな手紙が届いた以上、警戒はしなくちゃならねえ。なにせあのお方はこの町の警備と電力・・・実質、全てを任されてるような人でさあ。
 
なかなか表には出さねえが、苦労してんのよ。坊っちゃん達には悪いが、少しの間我慢してくれると助かるわ・・・できるだけ、退屈させねえようにはするからよ」 
「・・・」
 
 そう言われては文句を言うのが子供らしく思えてしまう。押し黙るサファイア。隣で聞いていたルビーはルビーで感じるところがあったようで。
 
「ただの厨二病患者かと思ったけど、あの人は自分の責任を果たそうとする大人なんだね・・・どこかの誰かさんに爪の垢でも煎じて飲ませたいよ」
「・・・シリアのことなのか?」
「まあね。あの人は家を継ぐのが嫌で飛び出して行ってしまった人だから」
 
 さらりと言うルビー。やっぱりまだ兄妹の溝は深いようだ。
 
「そういうことなら、大人しくしておくのも吝かではないね。幸いにして不自由は少なそうだし・・・サファイア君もここはジムリーダーに従ってくれると助かるよ」
「そうだな・・・ルビーの疑いを晴らすためには仕方ないのかな」
 
 それで納得するしかないのだろうか。そんなことを思いながら、サファイアは見張りの人の案内でレストランやゲームセンターを回る。初めて見る食べ物は美味しかったし、ゲームは楽しかったが、やはり気持ちのどこかでの引っ掛かりは消せぬまま、ジムに戻る時間になった。
 
 
「ごちそうさまでした」
「ごちそうさま」
 
 キンセツシティのジムではトレーナーは警備員の役割も果たすらしく、その為共同で生活している。よって食事もみんなでとり、サファイア達もそこに交じる形になった。
 
 食後に出された珈琲を、サファイアは砂糖のみ、ルビーはミルクと砂糖をたっぷり入れて飲ん
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ