雷と暗雲の街、キンセツ
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さんも困ってしまうよ」
「だけどさ・・・」
小馬鹿にしたように言うルビーにやはり戸惑いを隠せない様子のサファイア。
「あの・・・俺のほうから言うのもなんですけど、いいんですか。見張りがこんな風で」
サファイアがそう聞くと、見張りの一人の恰幅のいいおじさんが笑って答えた。
「坊っちゃんたちが変なことさえしなきゃあ、存分にこの町を楽しんでくれて勿論オーケー牧場さぁ。そうだ、この町にはゲームセンターがあるんだが、そこで遊んでくかい?」
「でも、ジムリーダーの人はすごい疑ってたみたいだったけど・・・」
ああ、それはなあ。と。おじさんの顔が少し曇る。内緒にしといてくれよ。と言って彼は話はじめた。
「実は・・・ネブラ様も本当はこんなことなんてしたくねえのよ。町に来てくれた、しかもジム戦にきたトレーナーにこんな真似・・・でも、あんな手紙が届いた以上、警戒はしなくちゃならねえ。なにせあのお方はこの町の警備と電力・・・実質、全てを任されてるような人でさあ。
なかなか表には出さねえが、苦労してんのよ。坊っちゃん達には悪いが、少しの間我慢してくれると助かるわ・・・できるだけ、退屈させねえようにはするからよ」
「・・・」
そう言われては文句を言うのが子供らしく思えてしまう。押し黙るサファイア。隣で聞いていたルビーはルビーで感じるところがあったようで。
「ただの厨二病患者かと思ったけど、あの人は自分の責任を果たそうとする大人なんだね・・・どこかの誰かさんに爪の垢でも煎じて飲ませたいよ」
「・・・シリアのことなのか?」
「まあね。あの人は家を継ぐのが嫌で飛び出して行ってしまった人だから」
さらりと言うルビー。やっぱりまだ兄妹の溝は深いようだ。
「そういうことなら、大人しくしておくのも吝かではないね。幸いにして不自由は少なそうだし・・・サファイア君もここはジムリーダーに従ってくれると助かるよ」
「そうだな・・・ルビーの疑いを晴らすためには仕方ないのかな」
それで納得するしかないのだろうか。そんなことを思いながら、サファイアは見張りの人の案内でレストランやゲームセンターを回る。初めて見る食べ物は美味しかったし、ゲームは楽しかったが、やはり気持ちのどこかでの引っ掛かりは消せぬまま、ジムに戻る時間になった。
「ごちそうさまでした」
「ごちそうさま」
キンセツシティのジムではトレーナーは警備員の役割も果たすらしく、その為共同で生活している。よって食事もみんなでとり、サファイア達もそこに交じる形になった。
食後に出された珈琲を、サファイアは砂糖のみ、ルビーはミルクと砂糖をたっぷり入れて飲ん
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