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聖闘士星矢 黄金の若き戦士達
370部分:第五十話 雪原の中でその七

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第五十話 雪原の中でその七

「アクエリアスに対してな」
「あのアクエリアスですか」
「あの男に対して」
「ここでの戦いは私とアクエリアスの戦いでもある」
 それでもあるというのだった。彼の言葉は遠くを見ていた。
「あの男を負かせてみせよう」
「アクエリアスのカミュ」
「思った以上の切れ者ですな」
「確かに」
 このことは狂闘士達も嫌になるまでにわかっていることだった。そう、まさに嫌になるまでだ。
「あの者を出し抜かないならば」
「我等にとっても」
「黄金聖闘士は全てそうだがな」
 レダは彼だけではないとも話した。
「全て。我々に対する最大の障壁だ」
「瞬く間にインプ達を全て氷漬けにしましたし」
「あの実力を見ればその通りです」
「黄金聖闘士は」
「そして我々の前にいるのはだ」
 レダの言葉はさらに続くのだった。
「あのアクエリアスというわけだ」
「はい」
「だからこそですね」
「そういうことだ。それではだ」
 一歩前に出たレダであった。そのうえで後ろにいる同志達に対して振り向かないままで告げるのだった。
「いない間は頼む」
「わかりました」
「それでは」
 彼等も今のレダの言葉に頷いて答えたのだった。
「後はお任せ下さい」
「留守の間は」
「それではな」
 そのまま前に進むレダだった。そしてその背に何かが宿った。
 一瞬だったがそれは確かに宿った。残る狂闘士達はそれを見て言うのだった。
「どうやらレダ様は」
「ああ」
「そうだな」
「本気だ」
 彼等はそれを見て確信したのである。
「間違いなくな」
「アクエリアス。ならば」
 そしてそのうえで話を続ける。
「倒されるな」
「他の聖闘士達もな」
「八大公」
 その彼の位置だ。狂闘士達の中で最高位の。
「その称号は伊達ではないか」
「その強さもまた」
「我等にとってはこの上なく頼もしく」
 彼等にとってはまさしくそういった存在なのだ。八大公とは。
「そして敵にとっては」
「これ以上はない恐怖」
「それこそが八大公だ」
 こういうことだった。
「その力、発揮されるというのだな」
「このロシアの大地で」
 白い雪の世界に何か黒いものが漂おうとしていた。それはただ黒いだけではなかった。白を全て溶かしてしまうような、そうした黒さであった。


第五十話   完


                2009・9・1

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