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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第百八十三話 休息の陰で
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処からなら三日程で戻ってこられるだろう」
なるほど、メルカッツ副司令長官が此処に来るのは大体二日後だ。強行軍で疲れているだろう副司令長官に一日休息を与えると言う事か。
「承知しました」
「グリルパルツァー少将、クナップシュタイン少将」
「はっ」
「卿らには今回の戦いで使用した妨害電波発生装置の回収を頼む。オーディン近郊でそんなものを放置するわけにはいかんからな」
「確かにそうですな、承知しました」
グリルパルツァーの答えにクナップシュタインが頷く。
「クルーゼンシュテルン副司令官はこの場にて本隊の直衛を御願いします。キルヒアイス准将は戦闘詳報の作成を。男爵夫人、キルヒアイス准将のサポートを御願いします」
ワルトハイム参謀長の指示に特に異論も無く皆頷いた。指示が出し終わりまた皆でコーヒーを飲む。今度は当然だが今回の戦いの事が話題になった。話が盛り上がっていく中、参謀長が突然話を聞いて欲しいと言い出した。
「シュターデン大将の事だが私は最初、あの醜態を軽蔑した。なんと情けない姿だと。司令長官の仰るとおり、あれでは死んでいった者たちが浮かばれぬと」
ワルトハイム参謀長が首を横に振りながら話し始めた。
「だが、今ではシュターデン大将の気持が少し分かるような気がする」
「それはどういうことです」
俺の問いかけに参謀長は少しの間沈黙した。
「分進合撃に対して各個撃破など私は考えることが出来なかった。司令長官が居られたから勝つ事が出来たが、そうでなければオーディン近郊で防衛戦をしていただろう。となればシュターデン大将に包囲殲滅されていたかもしれない」
「……」
確かにそうかもしれない。参謀長だけではない、俺も各個撃破など考え付かなかった。参謀長の話が続く。
「そう考えるとだな、シュターデン大将の気持が少し分かるような気がするのだ。同情するわけではないが今回の戦いはほんの少し、いや、かなり運が悪かったのではないかとな。まあ運も実力の内ではあるが……」
「……勝者と敗者は紙一重、そんな感じですな」
「だがその紙一重が重いのだろう」
グリルパルツァー、クナップシュタインが言葉を続けた。全く同感だ、その紙一重が重いのだ、詰め切れない。皆も同じ思いなのだろう、それぞれの表情で頷いていた。
コーヒーを飲み終わり自分の艦に戻ろうとしたときだった。ワルトハイム参謀長に呼び止められ、参謀長室に誘われた。
「トゥルナイゼン少将、卿は幼年学校でローエングラム伯、キルヒアイス准将とは同期だったそうだな」
「はい」
「親しかったのかな」
妙な感じだ。参謀長室に呼んでローエングラム伯、キルヒアイス准将と親しかったかを訊くとは。変な誤解は受けたくない。はっきりと答えたほうが良いだろう。
「いえ
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