第34話『切符』
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の剣幕には、部長もタジタジだった。
「いやいやいや、心配することじゃねぇよ。ちゃんと魔術関係だからさ」
「だから、それは何ですか?」
「お前もうちょっとタメさせろよ…。──まぁいい、実物が有るから直接見せてやる」
部長は制服のズボンのポケットをまさぐる。
俺たちは、それを待ちきれないといった様子で注視した。
そして部長がついに取り出す──
「石ですね、はい」
部長が取り出した物の存在を知るや否や、誰の言葉よりも早く俺の言葉が部長を射抜く。
しかし部長はそれに怯まず、言葉を返した。
「残念、違うんだな〜。これは、見た目はただの石っころだけども、実際はちゃんとした“魔石”なんだぜ?」
「ん?」
不意に出てきた新出単語。俺はそれが理解できなかった。さながら、初めて聞いた英単語を理解できないかのように。
部長が取り出したのは、石と形容して差し支えない一品であり、特別凄い物には見えなかった。
部長の右手にスッポリ収まるサイズのそれと、ただの石との違いを言えば、“青く発光していたこと”と、“細い正八面体を象っていたこと”だろう。
だがそれ以外は特に変わり無し。「綺麗な石」といえば誤魔化せるレベルだ。
そんな物体を不思議そうに見る、俺を含む部員全員を見渡し、部長は“魔石”の説明を始めた。
「この魔石は『夢渡石』という名でな。簡単に言えば、"夢から異世界にワープできる"んだ」
「「んん??」」
部長の説明に、さすがに全員が首をかしげる。
一方部長はその反応が面白いのか、ニヤニヤと笑みを浮かべていた。
「え、じゃあそれを使えば夢の世界に行けるってこと?!」
「ちっちっち、夢の世界じゃなくて異世界。完全に別の次元に行けるんだ」
そのことを聞いた途端、皆の目の色が変わる。部長のドヤ顔を見て、誰もが「これはヤバい」を思ったのだ。
「詳しい説明は後でするけども・・・驚いたか?」
「いやいや、驚かない訳がないでしょ!」
「どうやったらそんなモン手に入るんすか!?」
「あんた一体何者よ?!」
「魔術部の部長様ですぜ」
ギャーギャーと喚く魔術部部員一同。
それを制止する者など居らず、逆に全員で騒音を掻き立てていた。
そして様々な言葉が渦巻く中、1人の質問が場を治めた。
「いくら貢いだんですか?」
騒音が、打って変わって静寂に。
誰もがその質問に賛同し、石を買った張本人を見る。
その人物は「あ」と思い出したように一言洩らし、今までの満悦顔を消すと、バツが悪そうに顔を伏せた。
俺はその行動に疑問を抱き、先輩方も「部長?
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