第188話 虎牢関
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て臨戦の態勢を整えだす。しかし、動揺しているためか動きにむらがあった。大して、張遼軍は呂布軍の行動を察していたかのように既に臨戦の構えだった。
この状況で呂布軍は綻びである馬騰軍、孫堅軍を獲物と捉えた。呂布は方天画戟を振り回し敵兵を蹴散らしてながら突撃をする。その後ろは怒声をあげる騎兵達が続いた。彼らは大軍に周囲を囲まれる中で恐怖を感じている様子はなかった。ただ、主君である呂布の背中を勇猛果敢に追う。その動きは一つの生き物のようだった。
呂布はあっという間に馬騰軍、孫堅軍の兵士達を蹴散らし中軍に迫った。呂布の表情に緊張が走った。何故なら正宗が威風堂々と騎乗して控えていたからだ。彼の周囲には泉、星、愛沙が、そして背後には正宗軍が臨戦の構えで待ち構えていた。
「中々の馳走だ。呂奉先、礼を言わせてもらうぞ!」
正宗は掛け声をあげ馬を走らせ呂布に迫った。
「皆、呂布軍に手出し無用である! 一騎打ちにて勝敗を決める」
正宗は甲高い声を上げ周囲の兵士達に命令した。兵士達は戸惑うが、正宗の命令に従い動きを止めた。それに遅れて呂布軍の騎兵達も必死に突撃の速度を落とし動きを止め呂布を見守った。
「呂奉先、会えると信じていたぞ」
正宗は笑みを浮かべ双天戟で、呂布が振り下ろす方天画戟の一撃を受け動きを止めた。
「約束覚えてる?」
呂布は正宗に無表情で聞いた。
「覚えている。そのためにこれだけの大軍を率いてきた。この軍は私の配下だ。外様は後ろで見物に興じていることだろう」
「ここいる皆を助けてくれるなら投降する」
「容易いことだ。呂布軍の実力しかと見せてもらった。お前とその配下達の罪は問わん。厚遇すること約束する」
正宗は呂布に対して自信に満ちた表情で答えた。
「月は?」
正宗は呂布の言葉に神妙な表情に変わった。彼は何も答えず呂布の目を見て強く頷いた。
「この私に全て任せろ。洛陽には私の配下を既に潜り込ませいる」
正宗が呂布に答えると、呂布は初めて笑みを浮かべた。彼女は心底喜んでいる様子だった。
「ありがとう」
呂布は正宗に短く感謝の言葉をつげた。正宗は双天戟を下ろし左手で持ち直すと、呂布に手を差し出した。呂布は正宗の行動を不思議そうに見ていた。
「呂奉先、これはお前への信頼の証だ。お前の勇気と優しさに敬意を示す。お前を友と呼ばせて欲しい。私の真名は『正宗』だ」
「恋」
呂布は見よう見まねで正宗と同じく右手を出し、自らの真名を口にした。正宗は笑顔で彼女の右手を取った。
「恋、これからよろしく頼む」
「分かった」
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