第188話 虎牢関
[5/6]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
喚き散らす陳宮を余所に呂布は落ち着いた様子で陳宮に声をかけた。陳宮は呂布の指示に一瞬動きを止めた。
「本気なのですか!?」
「くぅ――――! 腕が鳴るっす」
李粛は腕をぐるぐると回しながら気合いの入った声をあげた。それを余所に陳宮は呂布に近づき必死に宥めようとした。
「このまま城にいても皆死んじゃう。だからここから出て敵を突っ切ってそのまま離脱する。でも、その前に車騎将軍に会いに行く」
恋は何でもなさそうに陳宮に言った。陳宮は鳩が豆鉄砲を食ったような顔をし制止していた直ぐに覚醒した。
「なんですと―――! 車騎将軍のところまで行くなど無理です」
陳宮は反董卓連合軍の軍勢をびしっと指さした。
「恋殿、あれをご覧ください。あの兵達を掻き分けて車騎将軍の元に辿りつくことができても、万が一に車騎将軍と交渉決裂したら私達は完全に終わりですぞ。一旦離脱してから車騎将軍に接触すればよいではないですか」
なおも陳宮は呂布を止めようとするが、呂布はかぶりを振った。そして、彼女は陳宮を無視し階段を降りていく。その後ろ姿をしばらく見ていた陳宮は意を決したように、呂布の後を追いかけた。その様子を咲は笑みを浮かべ眺めていたが、視線を迫る軍勢に向けその光景を凝視した。
「恋なら突破はできるすっよ。恋の言う通りに車騎将軍が出て切れくれればいいんすけどね。そうしないとアタイらも流石に今回はやばいすっ。でも恋と一緒なら何処までも着いていくっす!」
李粛は言葉と裏腹に楽しそうに呂布の後を追った。彼女の言葉を聞く者達は誰もいなかった。元々、呂布達は虎牢関に籠もるつもりは無かったのだろう。確かに援軍の望みもない状態において寡兵で大軍相手に篭城をすること自殺行為だ。
呂布達は虎牢関が迫る前に自分達から門を開き、颯爽と門外に出撃した。呂布に付き従う者達は全員騎乗していた。機動力重視の騎兵のみで構成した陣容からも籠城するつもりなど無かったことが窺いしれた。陳宮は呂布の後ろに座り彼女の腹に手を回していた。そして、呂布に従う騎兵達の表情から恐れは微塵も感じられなかった。呂布への絶対の信頼が窺いしれた。
呂布は彼らを掻き分け最前に出ると、呂布軍の兵士達の方を振り向いた。
「皆、行く!」
呂布の言葉に騎兵達は抜刀し声を高らかに上げ、自らを鼓舞した。死地であっても皆清々しい表情をしていた。
「皆、いくっす―――!」
李粛が元気良く槍を突き上げ雄叫びを下げた。すると呂布は馬を勢いよく駆けさせた。彼女を先頭に呂布軍五千が反董卓連合軍に突撃した。
反董卓連合軍は呂布軍の突然の行動に動きが鈍る。彼らは真逆呂布が野戦を仕掛けて来るとは夢にも思わなかったのだろう。
最前に位置する馬騰軍、孫堅軍は慌て
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ