誕生日記念 野良猫と出会った僕
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てきたこと、それだけだ。
───事態は急変する。
それはいつものように小学校へ登校しようとしていた時だった。
不幸な事件というものは不運がいくつも重なって出来上がるものだ。
凛が珍しく朝寝坊してしまったこと。
登校中にクラスメートの男子と遭遇してしまったこと。
パンダの存在をクラスメートに知られてしまったこと。
実は凛のことを女子らは妬ましく思っていたこと。
.....そして、凛がこの日、初めてスカートを履いてきていたこと。
すべてが一斉にやってくるなんて、不運そのものとしか言えなかった。
『やっほ!おはよー春くん!かよちん!』
いつもの時刻の10分後に星空凛はやってきた。
『おはよう!凛ちゃん遅刻だよ?早く行かないと学校遅れちゃう...って、あれ?今日はスカートなの?』
『そう...だよ?変、かな?』
もじもじ手を後ろに組んで視線を泳がせる姿は、女の子そのものであった。
『ううん、そんなことないよ!』
『そうだよ星空さん!可愛いよ♪』
実際に星空凛はこの時から可愛かった。
短い髪ながらもしっかり手入れされているみたいにさらさらで、すらっと伸びた手足。まだ小学生ということもあって身体にわかりやすい凹凸は無い。
だけどすれ違いざまに漂うシャンプーだとか、顔にかかる髪を触る仕草で更に彼女の魅力を高めていると思う。もちろん、今まで履いたことのなかったスカートを履いて恥ずかしがっている姿も初心で可愛い。
『かわっ!...いい。え、えへへ。そうかにゃ?えへへ...』
──唐突に聞こえてきた男の子の声。
『あ〜モテ男じゃん!!』
『ほんとだ!それに小泉と星空もいるぞ!やっぱお前ら付き合ってんじゃね!?』
『罪な奴だな〜!』
背後にはクラスでいつも男子陣の中心にいる三人組。
その三人の視線が僕や星空凛に一瞬向いた後、じ〜っと花陽の方を向く。
...正確には花陽の小学生とは思えないふくよかな胸に。
今ほどではないが、この時から僅かながら成長が始まり、小学三年女子全国平均を超えているのだ。
その彼らの視線にムッとした僕は立ちはだかるようにして場所を移動する。
『や、やぁおはよう』
『みんなおはようにゃ!』
『お、おはようございます...』
僕にいら立ちのような視線を向けながら『はよっ』とだけ小さく呟いて視線を逸らす。
そんな中、ライトグリーンのフレームをした眼鏡の男の子が、星空がスカートを履いていることに気づいた。
『あれ?星空がスカート?』
『え?あ、ほんとだ』
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