誕生日記念 野良猫と出会った僕
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『え?にゃはは〜、やっちゃった』
傘を拾い上げ、中にたまった雨水を捨ててから彼女に差し出す。
まったくこの子は天然といいますか...無防備といいますか。
多分それが彼女が好かれる一因なんだと思う。勿論それだけでないのは重々承知してる。
『でも、それじゃあどうしようかにゃ...このままにしておくのは私できないにゃ』
『そうだね...それに多分この子猫は生まれたばかりだよ。ほら、しっかり立てないみたいだ』
星空凛はがっくりと肩を落とす。
う〜んう〜んとしばらく唸るも、何やら良い考えが浮かんだらしく笑顔を浮かべて子猫の入った段ボールごと両手に抱えて『私についてきて!』とだけ言って前を歩きだした。
その、振り向いた時の彼女の笑顔に僕の鼓動は一瞬トクンと高鳴った。
無邪気で穢れの一つも知らないその笑顔は本当に可愛かった。
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...可愛かった。
〜☆〜
結局、彼女はどこに子猫を置いたのかというと小学校の体育館裏だった。
なんていうか、よくあるようなところに隠したなと思ったけど僕たちの小学校には小動物を隠して育てられるような場所はここしかないし、なにより小屋にはウサギが飼われているため目立ってしまうのだ。
だけど、星空凛はまるでその子猫を自分の弟のように可愛がっていた(尚、性別はオスだそうだ)。
猫アレルギーのおかげで触ったり抱き上げることはできなくとも子猫が餌を食べている姿や僕とじゃれている姿を見て満足しているらしい。
『可愛いね子猫さん。名前はなんて言うの?』
その時は花陽も連れて三人でお世話していた。人目の少ない早朝、うんと背伸びをしている僕に向けて花陽は質問してきた。
『そういえば名前決めてなかったね。星空さん、名前どうしようか』
『パンダ』
『『......』』
即答だった。
名前といったらポチなどと連想するのだが、星空はパンダという固有名詞を口にした。
いや...あれかな?顔の黒縁がパンダみたいだからそう名付けたのかな?
『え、どうして...パンダ?』
『だってこの子猫ちゃんは”パンダ”って呼ばれたがっているような表情してるからにゃ』
『可愛いね!私はいいと思うなぁ〜』
まぁ、可愛いのかも。
猫なのにパンダ、猫なのにパンダ。
頭の中で反芻し、くすりと笑みをこぼす。
昔から僕らはいつもマイペースにのんびり毎日を過ごしてきた。
変わったことといえば、僕と花陽の輪の中に凛が入っ
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