誕生日記念 野良猫と出会った僕
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の事。
それが花陽にとってはとても嬉しいことだった。僕以外の子と話すのは久しぶりで、最初はぎこちなくても自然と隣で気持ちよさそうにしている姿を見て、僕は嬉しかったんだ。
『星空さんは、学校好き?』
『大好きにゃ!それと、私のことは”凛”って呼ぶこと!』
『えっ!?え、っとぉ〜』
グイグイな星空凛に花陽は一瞬僕の方をちらりと視線を向けた後、恥ずかしそうに『凛...ちゃん』と声に出す。
それを聞いて彼女はさも嬉しそうな満面の笑みを浮かべる。なんとなく頭から猫耳、お尻から尻尾が生えていてぴょんこぴょんこしているように見えたのは気のせいだろうか...
『えへへ、かよちんは可愛いにゃ!』
『ふぇ!ちょっと恥ずかしいよぉ〜!!!』
──僕たち三人がこうして仲良くなった出来事はこんな感じだ。
特に何かあったわけでもない。でも、それが僕たちらしい出会い方だったと思う。
その日を境に彼女...星空凛と花陽は共に行動している光景が見受けられ、その中に僕は混ざることなく遠目で二人を眺めていた。
ようやくできた同性の友達。
ちょっぴり寂しいな、なんて考えたりもしたけど。
──そんな僕と、星空凛が親密な関係になったのはそれから二か月後の梅雨の時期。
花陽ちゃんが家族との用事があるということで先に帰り、久しぶりに僕一人で帰宅しているときだった。
その日も雨だった。その時は小雨だったものの、いつ土砂降りになってもおかしくないと天気予報は報じていた。だからいつもより早歩きで歩いていた。
半透明な傘がパラパラと軽快な音を立てていて、その音源となった雨の雫が次第に大きくなってくるのがわかった。
『雨、強くなってきたな』
僕は駆け足で帰ろうとした。
T字路を左に曲がったとき、電柱の隣で黄色の傘をさして蹲る人が視界に入った。
僕に背を向けているため誰がそこにいるのかわからなかった。
多少の興味はあったので横に並んでちらりと横顔を覗く。
さらさらなオレンジの髪。
季節は丁度梅雨で、数日前の長袖長ズボンとはうってかわって短パンに緑と白のTシャツだ。雨でぬれているため中の下着が若干見えそうで見えない。でも、まだ僕は小学生。そこまで意識することなく彼女に声をかける。
『星空...凛、さん?』
『え?あ、春くんだ』
『は、春くん?』
『だって高橋春人くんでしょ?だから春くん』
彼女は初めて僕の名前を呼んでくれた。
いきなりあだ名なので少しびっくりしたけど、全然悪い気はしなかった。
そのあと
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