誕生日記念 野良猫と出会った僕
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『は、履きたかっただけにゃ!』
『へ〜...男の子であるアンタがスカート履くなんて変ね〜!』
『っ!!私は女の子にゃ!!なんでみんなそういうこと言うの!!』
いつになく彼女は激昂していた。
仲良くしている友達が酷いこと言うからなのか、それとも”男の子”と自分が女の子であることを否定されているからなのか。間違いなく後者のほうが強い。
女の子なのに男の子と言われて喜ぶわけない。
それに...
『ホントはあたし、星空のこと嫌いだったんだよね!なんていうかさ、こういうことすれば男子から好感を得られるとか、更に女の子と仲良くしておけばみたいな媚び売ってるような態度が気に食わなかったんだよ!!自分でもわかる?!』
『そ、そんなことしてない!私は──』
『そうだよね〜コイツ自分に酔ってるんだよ!あぁ!みんなと仲良くできる私は可愛い!みたいなこと考えてたんじゃないの?』
『...していない。私はそんなこと考えてないもん』
もうこのクラスの女子は誰一人星空凛を庇う者はいなかった。
あんなに仲良くしてた男子でさえも女子の気迫に飲み込まれてしまい、知らぬふりをして各々の会話をしていた。
どうしてこんなに脆いんだろう...
たった一つの小さな誤解が大きな歪へと変化していくのを僕と花陽は間近で見てしまった。
もう、星空は空虚な目をしたまま何も言葉にしようとしなかった。
ただ。
口をわずかに震えさせて、自分の肩を抱くその姿は一匹の野良猫のように見えた。
そして。この時。この瞬間。
星空凛はりんとなった。
〜☆★☆〜
一度は咲き乱れて散ってしまい、幻想的な花を忘れてしまった木々が、再びその身を焦がしてゆく。
蒼く、蒼く。
小学校のグラウンドの片隅、タイヤの形をした遊具でポツンと一人で彼女は座っていた。
何をするでもなく、ただちんまりと雲一つない青空を眺めていた。
花陽とわざわざここにやってきたのは他でもない、星空に...凛に話さなければならないことがあったからだ。
『凛ちゃん、なにしてるの?』
花陽は尋ねる。しかし、ただ首を左右に振るだけだった。
僕と花陽は顔を見合わせて、何かを察したのか花陽はにこりと微笑んで凛の前に行ってその場にしゃがむ。
『一緒にあそぼ?』
『......』
反応はなく、以前として空ばかり眺めていた。
僕たちも一緒に空を見上げる。ただ、一面に青が広がるだけ
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