誕生日記念 野良猫と出会った僕
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クラスでは僕たちの起こした問題の話題で持ち切りとなっていた。
指導という名の説教が終わり、教室に戻ると待ち構えていたのはクラスメートの様々な視線だった。
好奇、嫌悪、軽蔑。僕らに聞こえないようにひそひそと話しているのが不気味だ。
話を聞いているのであれば軽蔑なんて眼差しは普通向けないはずなのになぜか向けられている。
噂に尾ひれがつくのは僕の中では当たり前だと解釈しているのだが、一体どういう尾ひれの付き方をしたらこうなるのだろうか疑問に思った。
『ねぇ星空さんさ〜』
いつも彼女と仲良くしている女の子の一人が代表として前に立つ。
ツリ目で前髪だけ金色に染めているのが特徴で、その子はズボンのポケットに手を突っ込みながら声をかけてくる。
『な、なに?』
『あのさ〜、さっき聞いた噂ってホントなの?』
『う、噂って?』
『いやだからさ...
───星空凛が”猫を殺した”って噂』
直後、しんと静まり返る教室。
...え?なにその噂は。
あまりにも飛躍しすぎた内容に度肝を抜いた。
どこからそんなデマが流れてきたのか気になるが今は関係ない事。僕は星空とその子の間に入る。
『ちょちょっと待って。どうしてそんな話になったのかわからないけど星空さんがそんな事できるような子じゃないってわかるでしょ?』
『アンタは何様よ!いきなり間に入って来ていけしゃあしゃあと!アンタは教室の隅で黙っていればいいのよ!!』
なんという言われよう...
確かに僕はこうして渦の中に自ら入っていくような人物じゃないのはわかっている。
だけど、尾ひれの内容ができるような少女じゃないことはここ数日で知った。
僕には理解できなかった。僕や花陽より遥かに星空凛と関わりがある彼女が、いや、彼女たちが『アイツは酷いヤツ』、『あの子は最低だ』という意味の含まれた眼差しで彼女を見下しているからだ。
『とりあえずさ、どうやって猫を殺したのか私に教えてよ。そんな可愛い顔の裏でどんな残虐なことを考えているのか見てみたいわ』
『わ、私はそんなことしてないにゃ!!』
『大体さ、その”にゃ”はなんなわけ?前から気になってたんだけどそれで可愛いと思ってるつもりなの?男子の話によると、昨日スカート履いて学校来ようとしてたみたいだね。何のつもり?』
もはや収拾がつかなくなってきた。
猫の話題から星空凛自身へ話題が逸れた。
驚きのあまり彼女は視線を彷徨わせて助けを求めるも、クラスの仲の良かった友達でさえ嫌悪の視線を向けていて、それだけでフォローしてくれないのは目に見えていた。
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