EPISODE04勇者V
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れ以上判断を遅くするわけにもいかない。
腹が煮え返るほどの悔しさと共に、彼女等3人は背を向けて、漆黒の戸張を駆け抜けていった。
(絶対に……絶対に魔剣を奪って見せる!)
ドリス、マーゴット、ペネロペの後ろ姿を見送っていた凱は、言い知れぬ胸騒ぎを感じていた。
近いうちにまた会うかもしれない。
その時は、また敵として会うのかもしれない。
いずれにせよ、この出会いが凱に何をもたらすのか、誰一人として、知る由もなかった。
この日の夜、三番街周辺物の被害は幸いにも、致命的な損傷は受けていない。巻き込まれた市民がいない事は、何よりの朗報だろう。
独立交易都市の公務役所へ来所した凱は、魔剣から人の姿へ戻った彼女と共に、これまでの一部始終を報告していた。
規則的なフォルムを残す市長室内において、凱は市長と団長と対面していた。
「……以上が今回の事件記録レポートです」
「ご苦労様です。ガイ君」
「でも、流石に彼女が魔剣だなんて思いませんでした」
率直に感想を述べる凱を見て、ヒューゴーはハンニバルと顔を見合わせた。
「ハンニバル君、説明してなかったの?」
「ああ、その方が面白いからな」
「悪趣味だねぇ、おっちゃん」
三者がそれぞれ言った。それも面白そうに。
取り残された凱は、改めて自分の立場を自覚した。
もしかして……俺はかまされた?
冗談じゃない。
こちとら危うく殺されかけたんだぞ。
ぶつぶつと呟きながら、凱の周囲には暗いオーラがまき散らされていく。
――あたしは魔剣アリア。宜しくね、ガイ――
しかし、微妙に沈んでいる凱の耳には、もはやアリアの言葉は届いていなかった。
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