EPISODE04勇者V
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涙ぐんで倒れる女性の手を優しくとる。細く、それでいて柔らかい女性の手の感触に、少しだけドキッとした。
「……ここは?」
「へ?」
「ここはどこ?あたしはダレ?」
「おいおい、大丈夫か!?」
真顔になって女性に迫る凱は、本気で心配になった。もしかしたら、この流れでいけば記憶そう……
「なーんちゃって♪ウソだよ」
可愛げに舌をチョロッと出しながら凱を見上げた。
心配するどころか、本気で叱ってやろうかと思った。
「こら!タチの悪い冗談はやめろ!」
「あ、もしかして本気にしちゃった?あなたの反応が面白かったからつい……」
あははと笑い女性を余所に、凱はぷるぷると身体を震わせていた。この子は完全に俺を弄んでいやがる。
「でもちょっとだけ責任とってくれない?」
「責任?」
「ぶつかっちゃったせいで、あたしの頭にコブができちゃったから」
「い、いや、それは俺も悪いと思って……」
「い・い・な!」
凱は女性の妙な迫力に思わず飲まれ、凱は首を縦に振った。
大事な任務が……という凱の意見を軽くあしらい、女性はムリヤリ凱と凱旋すると宣言していた。
「まいったな、魔剣を探さなきゃいけないのに」
「魔剣?」
どうやら思わず口に出してしまったらしい。彼女は魔剣という単語を聞き逃さなかった。
凱は慌てて誤魔化そうとするが、既に遅かった。
「ん〜〜今日一日あたしにつきあってくれたら……魔剣の在り処を教えてあげるよ」
何やら胡散臭い気もするが、魔剣の情報が入らない現状では、どこで何をしようと変わらない。
「分かったよ。俺で良かったらとことん付き合うぜ」
OKサインを差し出すと、彼女は大いに喜んだ。どうして彼女が魔剣の所在を知っているのか、謎が多い部分もあるけど、とりあえずスルーする。
彼女の喜びようを見ていると、不思議と凱も同じような気持ちになった。
「じゃあ早速あそこにいこうよ!何か面白そうなお店があるよ!」
強引に手を引っ張られ、凱を勢いよく引きずっていく。
今日はもう仕事OFF。踊り子みたいな女の子の理不尽に付き合ってあげようと、仕事の事は忘れたのであった。
太陽が頭上で輝くのを許す限り、二人は凱旋という探索を尽くしていた。むしろ、はたから見れば、探索と言うより遊びという言い方がいいかもしれない。
中世時代を思わせるこの街は、意外と娯楽施設が多かった。それ以上に、凱にとって馴染み深い設備もあった。
「ボウリング?」
首をかしげるように、女性は店の看板を見上げていた。
「懐かしいなぁ、ボウリングかぁ」
「何それ?」
「まぁ、説明するより実際にやってみたほうがはやいぜ
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