暁 〜小説投稿サイト〜
幽雅に舞え!
白熱!エンタメバトルショー
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のへの恐怖と、何か本能的な不安がこみあげてくるのだ。
 
(なんだ、こいつ……こんなのと戦って勝てるのか?)

 その感情は、目の前に相対するサファイアにもはっきりと沸き起こっていた。フワンテも、わずかに震えている。今笑っているのは、ジャックだけだ。

「いくよお兄さん。レジスチル、原始の力!」
「……フワンテ、妖しい風!」

 レジスチルの周りに浮かんだ岩が、小さくなったフワンテを的確に狙ってくる。それをフワンテは風で吹き飛ばそうとした。だがいくつかが、フワンテの体に当たる。能力をアップさせたフワンテ以上に、レジスチルの能力が高いのだ。

「この瞬間、元始の力の効力が発動!君の妖しい風と同じく、レジスチルの能力をアップさせるよ!」
「まだ強くなるのか……なら一気に決めてやる。フワンテ、シャドーボールだ!」

 レジスチルへの恐怖から、サファイアは勝負を焦った。巨大なシャドーボールがまっすぐ飛んで行き、闇のエネルギーがレジスチルの体を一瞬黒く染めるが――

「ふふん、そんなもんじゃ僕のレジスチルは倒せないよ!これでとどめだ、ラスターカノン!!」
「しまった……!」

 レジスチルは、平然とそこに立っていた。その顔のような点には一切の変化が読み取れない。レジスチルの眼前から、鈍色のエネルギーが溜まっていく。シャドーボールとは違い、周りに不吉な輝きをまき散らしながら放たれたそれはフワンテに避ける暇を与えなかった。

「……戻れ、フワンテ」
「これでお互い一匹ずつだね、お兄さん」

 屈託のない笑顔で、ジャックは笑っている。それをできるだけ見ないようにしながら、サファイアは最後のポケモンを繰り出した。

「……頼む、ジュペッタ」
「−−−−」

 ジュペッタが声を上げて現れる。本来おどろおどろしいはずのそれは、レジスチルの圧倒的な威容の前にはまるで子供の悪戯のようにちっぽけに聞こえた。いつもなら落ち着けと諭してくれるジュペッタですら、目の前の敵に怯えている。

 そんなサファイアとジュペッタを見かねたのか、ジャックはポケットから包み紙を取り出してサファイアに放った。二人の距離は遠く、届かないかと思われたがそれは不思議な力に乗せられたかのようにサファイアに届く。

「もう、しょうがないなあ。お客さんを楽しませるお兄さんがそんなことでどうするの?飴ちゃんあげるから元気出してよ」
「これは……」

 ジャックがよこしたそれは、飴玉などではなかった。それは特殊な石。メガストーンに対応するもの。

「君はシリアのようなエンターテイナーを目指してるんでしょ?だったら、どんな敵が相手でも笑顔でいなきゃ。笑顔で、強くて、優雅で、幽玄で。そんなトレーナーに君はなる
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