368部分:第五十話 雪原の中でその五
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第五十話 雪原の中でその五
「ではこれを聴いてだ」
「はい」
「力も出て来ました」
優れた音楽は人に活気を与える。それもあったのだ。
「じゃあオルフェ、これからな」
「一気に北まで行くか」
「ああ、そうしようぜ」
「今からな」
「いや、待て」
しかしここでもう一人の白銀聖闘士であるバベルが彼等に告げるのだった。
「別に焦ることはない」
「焦ることはって」
「っていうとまだ何かあるのかい?」
「飯も食ったし元気も出たってのによ」
「見るのだ」
ここで彼が指差したのは。聖闘士ではなく他の仲間達だった。彼等は。
「あれっ、この連中も聴いてたのかよ」
「犬も音楽わかるのかよ」
「まさかとは思うけれどよ」
「ケルベロスを思い出すのだ」
カミュはここでそのオルフェウスが眠らせた地獄の番犬のことを話した。
「ケルベロスをな」
「そういえば前のベリアルの幻術もケルベロスだったな」
「ああ、そうだったな」
彼等はここでこのことを思い出すのだった。
「あいつも一応犬だし」
「それなら」
確かに三つの首を持ち首に無数の蛇を生やし尾も蛇でありおまけに毒まで持っているがそれでもケルベロスは犬なのにハ間違いないのだ。
「この連中が聴き惚れても当然か」
「そうなるな」
「そういうことだ。この連中にも聴かせてやれ」
またこう述べるバベルだった。
「最後までな」
「ええ、それじゃあ」
「ここは」
彼等もそれで微笑むのだった。こうして彼等にもオルフェの竪琴を心ゆくまで聴かせる。それが終わってからゆるりと進みはじめたのだった。
それからの旅は気持ちのいいものだった。オルフェの音楽がそうさせた。そしてまたかなり進んだその時に。周りに林が出て来たのだった。
「林!?」
「何か別のものが出て来ましたね」
「そうだな」
青銅の者達はその木々を見てそれぞれ言う。その木々はどれも雪で白く化粧されていた。
「何か出て来そうだな」
「警戒しておくか」
「ああ」
こう言い合い警戒の念を抱いた。そしてカミュも言うのだった。
「ここだな」
「ここ!?」
「じゃあやっぱり」
「そうだ。来る」
カミュはまた言った。
「ここで来る」
「じゃあ今度こそ俺が」
「いや、俺だ」
「俺が行く」
それぞれ戦う用意をしようとする。しかしここでもカミュは言うのだった。
「いや、今回も私にやらせてもらう」
「えっ、ですが」
「今回もっていうのは」
青銅の者達はそれを聞いていささかいぶかしむ顔になってしまった。
「幾ら何でも俺達にやらせてもらわないと」
「最近全然仕事してないですし」
「いいのだ」
だがカミュはそれをいいとするのだった。あえて彼等に告げてだ。
「また罠が来る
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