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活動日誌9 わんだー・ぞーん! 2
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ている私達。
 にこ先輩はコップのジュースを一口飲んで一呼吸(ひとこきゅう)をすると――

「だけど、あたしには仲間(・・)ができた。一緒にアイドルを目指せる……思い出を共有できる仲間が。あんた達に誘われた時点で、あたし(・・・)の目標は全員(・・)の目標になったんだから、あたし1人が所有(しょゆう)するものでもないのよ? だから、部へ寄付をした。それだけよ?」
「……にこちゃん」
「それにね? ――」

 優しい微笑みをことりさんに向けながら、そんなことを言っていた。
 隣で聞いていたことりさんは柔らかな表情を浮かべて声をかけたんだけど、にこ先輩はことりさんに向かって含み笑いの表情で――

「第一、あんたが言ったのよ? 私には私の役目がある……道に迷うことがあっても、それがムダになるとは思わないって。……アノ色紙にはアノ色紙の役目がある。道に迷うことがあっても、部室に飾っていることがムダだとは思っていないわよ、あたしは?」
「…………」

 そんな言葉を繋げたのだった。

 去年のハロウィンイベントの際、新しい μ's を試行錯誤するあまり――肝心(かんじん)な曲や衣装の進行などが大幅(おおはば)に遅れていたらしい。
 衣装製作担当のことりさんと共に、にこ先輩と花陽さんが衣装製作の手伝いをしたらしいんだけど――にこ先輩が愚痴(ぐち)をこぼした時に、ことりさんから言われた言葉なのだと言う。
 ことりさんは、そんな言葉を受けて苦笑いの表情で何も言えなくなったのだった。
 そんなことりさんを優しく見つめながら――

「そもそも、あんたは別に恥ずかしいことをしている訳じゃないでしょ? ただ、純粋にお客様を笑顔にさせる為に頑張って(・・・・)きて……あたし達がそれを認めた(・・・)。そして、そのことがアイドルにとって1番大事(・・・・)だって、あたしが思っているから……アイドル研究部に必要だから部室に飾っている。……それが色紙に対する価値なんだから、胸を張って良いことだと思うけど?」

 にこ先輩はそんな言葉で話を()めた。
 ことりさんはその言葉を聞いて、他の μ's のメンバーを見つめていた。周りの皆もことりさんに微笑んで無言の頷きを返す。
 皆の頷きを見て、少し涙ぐむことりさんなのだった。
 
 そんなことりさんを温かく見守るお姉ちゃん達。
 常に新しいことを目指して変化していくお姉ちゃん達。
 そんな1人1人の変わっていく時間を、常に受け入れてくれる――このアイドル研究部と言う場所も、お姉ちゃん達にとっての不思議な空間なのかも?
 そしてこれからは、私や亜里沙や涼風の変化も受け入れていってくれる――
 私は部室の不思議な空間に包まれながら、そんな気がしていたのだった。

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